異性と出会い、デートをして付き合う。

そんな当たり前だった恋愛のルールが、新型コロナウイルスの出現で様変わりした。

その変化はどのようなものなのか、20代後半から30代の男女にインタビューして分かった“リアル”をお届けする。

コロナウイルス出現後、“新しいデート様式”はどうなったのかー?

▶前回:「相手がクズなら、私も…」27歳CAが自暴自棄になった夜に起きた、衝撃の展開とは?



マッチングアプリで出会った運命のヒト


「あ、これは運命だって、出会った瞬間に思っちゃったんですよね」

そう笑顔で話してくれるのは、人気の結婚式場から引っ張りだこのフリーウェディングプランナーを務めている篠原万梨乃さん(仮名・32歳)。ニッコリ笑ったときに見える真っ白な歯が印象的な綺麗な女性だ。

万梨乃さんは、今お付き合いしている直樹さん(仮名・29歳)と初めて出会った日のことを語ってくれた。

目鼻立ちがはっきりしていて背もすらりと高く、どこから見ても“モテる”タイプの万梨乃さん。しかし、仕事一筋でキャリアウーマンな万梨乃さんのことを理解してくれる男性はなかなか現れず、お付き合いをしても長く続かないことが多かった。

30歳を過ぎたあたりから本格的に結婚を考え始め、マッチングアプリをインストールし、パーティーにもたくさん参加していたそうだ。

しかしアプリを入れたからと言ってすぐに理想の男性に出会えるはずもなく、うまくいかない日々が続いていた。

そうして半年ほど婚活を続けて、ようやく出会ったのが、直樹さんだ。

数回のメッセージのやりとりで気が合うなとは思っていたが、実際に会ってみると言うことなしだったそう。

直樹さんはクラフトビールのブルワリーを経営していて、お酒、特にクラフトビールに目がない万梨乃さんはますます運命を感じたそうだ。

「30歳を過ぎて、結婚もどんどん現実味を増してくるのに、この人だっていう人にはなかなか巡り会えなくて…。諦めかけていたときに出会ったのが直樹だったんです。ああ、これは絶対結婚するなって直感しました」

当時の二人の甘い様子が思い浮かんだのか、万梨乃さんは顔を赤らめた。しかしまさに幸せの絶頂といった様子だった顔が突然陰り、万梨乃さんはポツポツと話し始めた。

「でも私たちに、別れの危機が迫ったんです…」


運命の二人を襲った悲劇とは…?

前向きな私には理解できない彼氏の行動


付き合い始めて2ヶ月ほど経った3月末。コロナウイルスによる影響が二人の“業界”を襲った。

3密を避ける風潮は、万梨乃さんの所属するウェディング業界を、外出自粛要請は、飲食店やお土産屋さんを中心にクラフトビールを卸販売していた直樹さんのブルワリーに大ダメージを与えた。

「仕事は激減…というかもう5月に緊急事態宣言が発令されたときにはゼロに等しくなりましたね。毎日のように来ていた仕事のオファーもぱったりとなくなって、どうしたものかとさすがの私も頭を抱えました」

フリーランスとして働く万梨乃さんにとって、“仕事がない”という状況は想像を絶するほど苦しいものだった。いつ今までのように仕事が復活するのか分からない先の見えない状況に、最初は眠れない日々が続いたという。

そんな大打撃を受ける中でも、万梨乃さんは持ち前の前向きさを武器に、今自分にできることを必死で探した。

「正直、フリーランスなので目先の収入はゼロになってしまいましたが、それまでにある程度稼いでいたので、金銭的にはまだ余裕があったんですよね。だから、このコロナ禍が明けたときにどういう自分でいたいか?を考えたんです。

そうして辿り着いた答えが、こういう誰も経験したことがない事態のときに“誰かのためにいられる自分”でありたいなということ。 だから、同じウェディングプランナーの後輩たちのために無料でオンラインセミナーを開きました」



週に2度ほどのペースで始めたzoomを使ったオンラインセミナーはたちまち周囲で大人気になったそうだ。

そうして万梨乃さんは、誰もが先行きが不透明で不安を抱えた毎日を過ごしている中、ウェディング業界で働く後輩たちの光となったのだった。

「でも…直樹はそうではなかったんです。私はどちらかというと前向きな性格で、目の前の事態を一度飲み込んで、自分なりにプラスの方向に消化することができるんですけど、直樹の気持ちはどんどん沈んでいってしまって…」

自粛で会うことはできなかった二人だったが、電話やzoomを使って積極的にコミュニケーションを取っていたという。最初のうちは「早く会いたいね」なんて甘い会話を交わしていたが、自粛期間が長引くにつれて、直樹さんの様子がみるみる変化していった。

最終的には、万梨乃さんがかけた電話に出なかったり、出たとしても暴言を吐いたりされたそうだ。

中には、今でも思い出すと胸がチクリと傷む言葉もあった。

「女はどうせ職を失っても大丈夫じゃないか」

仕事にプライドを持っていた万梨乃さんの心をえぐるような発言だ。

「確かに私はフリーで、ある程度自由や余裕があったのは事実で、直樹は経営者として従業員も抱えているのでプレッシャーや不安は私の何倍もあったと思います。

もちろん本心から言っているのではないことも重々承知しています。でも、そんな風に大変な状況に置かれたときに、誰かを攻撃するしか自分の気持ちを保ことができない直樹のことを“情けない”と思ってしまったんです」

そこで万梨乃さんが激しく言い返したことをきっかけに、二人は口論になってしまい、喧嘩をしたまま電話を切ってしまった。万梨乃さんはその日オンラインセミナーがあったこともあり、そのまま1週間連絡を取らなかった。


1週間連絡を取らない間に、万梨乃さんが考えたこととは…?

「本当にごめん!」

万梨乃さんが1週間ぶりに直樹さんに電話をかけると、直樹さんは開口一番、電話口で叫んだ。

「正直驚きました。私が驚いて黙ってしまっていたら、直樹が、『僕は経営者なのに、自分ばかり大変だ、辛い思いをしているといつの間にか悲劇のヒロイン面をしてしまっていた』って悔しそうな声で言ったんです。

あの、プライドが高くて自分の負けを認めるなんて絶対にしない直樹が、ですよ。それを聞いたら、『悲劇の“ヒロイン”は女性でしょ』なんてツッコミを入れるくらい仲直りしちゃいました」

そしてその直樹さんの態度を見て、万梨乃さん自身もハッとさせられたそう。

「私、いかに直樹の表面しか見ていなかったかということに気がついたんです。付き合ってすぐにコロナウイルスで自粛期間になってしまったので、お互いのことを知る時間は確かに少なかったですが、それでも私は、直樹のルックスや職業、外向きの性格ばかりに目がいってしまっていました。

本当の直樹は、とても傷つきやすくて繊細な人でした。それなのに私は、上を向くことだけが“正”だとでも言わんばかりに、直樹に自分の性格を押し付けてしまっていたんです」



未曾有の事態でも、なんとか自分らしく前向きに今できることを探し、取り組んでいた万梨乃さん。だからこそ、上を向いて頑張ることだけが正しいと思い込んでしまい、ましてやそれをできない彼氏を物足りなく思ってしまったのだ。

「もっと、彼の気持ちを想像して寄り添ってあげることが大切だったんだ、と反省しました。

だからその電話で私も自分の悪かったところをきちんと言葉で伝えて、謝りました」

そうして二人は、お互いの頑張りや気持ちを思いやる大切さを知り、一段と深く関係を築くことができたという。

「これから生活を共にしていく中で、きっと今回のコロナウイルスのような予想だにしないことがたくさんあると思うんです。でもそんなときこそ、お互いを思いやれる家庭を築いていければいいなと思っています」

そう言って真っ直ぐな視線を送ってくれた万梨乃さんの左手の薬指では、真新しいリングがきらりと光っていた。


▶前回:「相手がクズなら、私も…」27歳CAが自暴自棄になった夜に起きた、衝撃の展開とは?

Fin.


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