2020年の5月にオープンしたばかりにも関わらず、早くもリピーターが続出していると話題の店がある。

その店の名は『車力門 おの澤』。

聞くところによると、和食のコースの〆として提供される蕎麦が絶品なのだとか。

しかも、そのコース自体も驚きの高コスパらしい。早速取材に向かった!


美しい誂えと細部まで行き届いた気遣い。足を踏み入れただけで感じる名店の余裕

四谷・荒木町といえば、食通をも唸らせる名店が数多く存在するグルメエリア。

そんな荒木町の中でも、新旧の実力店が並ぶ車力門通りに5月に誕生したのが『車力門 おの澤』だ。

清潔感のある白木の玄関と、店名が控えめに書かれた白い暖簾が、この店の目印。


店に入ると、まず檜の無垢の美しいカウンター(宮大工が手作業で削り出した!)が目に入る。14坪の敷地に10席のみというスペースに余裕を持たせた贅沢なつくりのため、驚くほど広く感じる。

また、ほんのりと薫る上品なお香と、温かい照明が心地よく寛いだ気分にしてくれる。


旬の食材を贅沢に使用!和食のコースが1万円代で楽しめるのが凄い!

美しいカウンターの向こうで腕を揮うのは、店主の小野澤 誠さん。

小野澤さんは銀座8丁目で手打ちの十割蕎麦が評判の蕎麦割烹『銀座矢部』で、5年半の修業をしたのち独立した確かな腕の持ち主。

「荒木町は美味しいものを知っている人が集まるエリアです。ずっと物件を探していて3年目でようやく良縁を頂き、この地に店を開くことができました」(小野澤さん)


こちらで頂けるのは、10,000円(8品)、13,000円(11品)、15,000円(12品)の3種のコース。

今回は、13,000円のコースを例にお店の魅力をお伝えしたいと思う。気になる構成は、先付、前菜、お椀、お造り3種、温物、備長炭焼き物、酒肴、強肴、十割蕎麦、デザートの11品。

艶やかな質感の生本マグロは、マグロ専門の仲卸で有名な『やま幸』のもの。マグロの旨みと甘みを感じる味わいはさすがのひと言。


しかしこちらで特筆すべきは、鱧の焼き霜造りだ。

鱧の刺身というと、骨切り(身に細かく刃を入れながら骨も断ち切る技法)の処理をすることが一般的だが、こちらは違う。実は骨を一本一本丁寧に抜いているのだ。

実際、口にしてみるとコリッコリという小気味よい歯ごたえを感じることが出来た。「これが本当の鱧なのか…!」と、これまでの鱧の概念を変える味わいに出合うことが出来る一品だ。

また、抜いた骨は途中で揚げて、提供してくれるのだが、この“骨煎餅”もまたおつまみに丁度いい。


続いて、「秋刀魚の塩焼き」。

こちらも鱧同様に、すべての骨を取る。

秋刀魚を背開きにし、骨を抜き、内臓を戻したのち串を打ち、備長炭で皮目を香ばしくパリッと焼き上げる。

ここまで手間をかけた秋刀魚の塩焼きに出合うことは、そうそうないだろう。


炭のいい香りが店内に広がってくると、食欲を掻き立てる。

身をほお張ると、脂の乗り具合もバッチリ!

パリッと焼かれた表面の香ばしさと、ふわっふわの身のコントラストがたまらない!


ついに真打ちの「蕎麦」が登場!温冷2種類の蕎麦を食べ比べだ!

お待ちかねの〆の蕎麦!味わいが異なる「冷温2種」を食べ比べできる!

ここまででも、すでに大満足の内容だが、これからがおたのしみの…!そう、店主自慢の〆の蕎麦だ。

こちらは、店主の出身店である『銀座矢部』のスタイルを踏襲し、十割の手打ち蕎麦を〆に提供。

だが『車力門 おの澤』では、冷たい蕎麦と温かい蕎麦の2種類を用意。

美しく切り揃えられた蕎麦は、銀座の有名店で腕を磨き上げた料理人のなせる技!


蕎麦の味を引き立てる、蕎麦つゆもまた絶品!

冷たい蕎麦の出汁は荒節と本枯れ節でコク深く、温かい蕎麦の出汁は宗田節とサバ節ですっきり。温冷の蕎麦の味わいはまったく別ものに仕上がっている。

また、この「温かい蕎麦」は今秋から登場したという注目の一品。


まずこれを供された瞬間、客はその"ふわっとろ”な斬新な見た目にうっとり。そして、その味わいに驚愕することになる。

当日にお店で打つという風味豊かな十割蕎麦に、磯の香りが香ばしい田庄の海苔と、ねっとりとしたとろろが絡みつく。

これに卵も加わり、三位一体の複雑な口福が訪れるのだ!

また、すっきりとした出汁にこれらの旨みが染み出すことで深みが増し、身体を芯まで温めてくれる。これからの季節にぴったりのひと品だ。


最後には、さっぱりとしたデザートを。

この日のデザートは「丹波の黒豆のババロア」。老舗の黒豆卸店『小田垣商店』の黒豆を優しく焚き上げた一品だ。

これだけの満足度でこの価格…。オープンしてからすでにリピート客で盛況しており、驚異的なコスパの良さに来店した当日に次の予約を取っていく人も多いというのも納得だ。


こちらが、店主の小野澤 誠さん。

実はこの店主、料理の腕はもちろん、人柄の良さにも定評がある。

「人が好き、料理が好き、自分も好き!松岡修造さん並に熱い男です。得た技術を磨き上げ、今後どう成長してくか楽しみです」と師匠の『銀座矢部』店主・矢部久雄さんも太鼓判を押す人物なのだ。

確かな料理の腕前と愛嬌のある人柄。この二枚看板があれば、オープンしたばかりでも話題になるのは必然だろう。

『車力門 おの澤』が、未来の予約困難店になるのは確実。オープンしたての今こそ、訪れるチャンスかもしれない。