―絶対に、してはならない。

禁じられるほどしたくなるのが人間の性。それを犯した人間に、待ち受けているものとは…?

▶前回:「え、これ俺の彼女…?」ネットで見つけ凍りついた、彼女が隠していた恐ろしい裏の顔



本日のパンドラの箱:恋人の経験人数を聞いてしまった…


「智花です、CAやってます!関西出身なんですけど、東京来て4年もたつので、もうすっかり関西弁は抜けちゃいました」

笑顔でそう話す彼女には、まだ関西弁のイントネーションが少し残っていた。

そのどこか抜けた雰囲気と、クールビューティー系の見た目とのギャップに、すぐに惹かれた。

恵まれた容姿、コミュニケーション能力、CAという肩書。

彼女はきっと、人並み以上にはモテてきたのだろう、なんとなくそう思っていた。

けれど、僕だって負けていない。

2年の司法浪人を経て手にした、弁護士という肩書。約180cmの身長に、悪くないであろう目鼻立ち。東京の熾烈な恋愛市場においても、それなりに高値だろうと自負している。

「よかったら、今度ごはんいかない?」
「嬉しいです、私も雄輝さんと2人で飲みに行きたいです」

食事会終わり、こっそりそう誘った僕に対し、智花は嬉しそうに微笑んだ。その表情をみたとき、これはいけるやつだ、と確かな手ごたえを感じた。

それからトントン拍子にお付き合いまで発展したのだが…。

智花が初めてうちに泊まりにきたとき、彼女が放った一言に、こんなにも幻滅するなんて思ってもみなかった。


智花と迎えた初夜、彼女が放った衝撃的な一言とは?

それは、付き合いはじめて2度目のデートのこと。

その日は『十番右京』で食事をしてから、麻布十番にある僕の家に泊まりにくることになっていた。

時間ぴったりに『きみちゃん像』の前に現れた智花は、ゆるく巻いた髪に赤いリップが色っぽく、ぐっと大人っぽい印象だった。

そんな彼女を連れて歩けることが、僕は男として誇らしかった。

それに、今日は初めて彼女と一夜を共にする。

司法試験という難解な試験を突破し、普段はかしこまった表情で小難しい仕事をしているというのに、そんなことで浮足立ってしまう。

男は単純だと言われてもしかたないと、自分の心境をもって理解する。

「雄輝さん、最近はお仕事忙しいの?」
「ちょっと厄介な刑事事件担当しててね…」
「智花ちゃんは最近どう?」

若干上の空の僕とは対照的に、今日の彼女はいつにもまして、よくしゃべる。彼女のペースに巻き込まれる形で、最近の仕事のこと、過去の恋愛、僕の趣味、一通りの話をした。

そして、うちでくつろぎ、いい雰囲気に持っていく。慣れた手順をまどろっこしく感じながらも、それなりにその一つ一つを楽しみながら、そのときを迎えた。



彼女が見たいと言っていた映画を鑑賞しながら、ワインボトルを空ける。

僕も酒は弱い方ではないが、智花もなかなかいける口だ。明日が休みだという油断もあってか、僕も彼女もかなりのペースでワインを開けてしまった。

智花の頬が赤らみはじめたとき、彼女をグッと引き寄せ、パーソナルスペースを一気に縮めた。

「…映画、もう見ないの?」

そう言う彼女からはふわっと赤ワインの香りが漂い、少し驚いたような表情でこちらを見つめる。彼女の唇を塞ぎ、覆いかぶさるようにしてソファに押し倒した。

けれど、智花は酔っぱらってしまったのか、緊張しているのか、ふと顔を覗き込むも硬直した表情でこちらを向き、どうにもぎこちない。

「どうしたの?」
「…ううん、何でもない」
「そっか」

そして彼女のワンピースのボタンに手を掛けた、そのとき。

「…ねぇ。私、はじめてなの」

消え入りそうな声で、彼女がそう呟いた。

「わかった、わかった」
「…本当に、わかってくれてる?」

最初は冗談のように聞こえたのではぐらかした。だが彼女の声色や反応をみるに、その言葉が徐々に真実味を帯びてきた。

「…うそだろ?」

僕は手を止め、彼女を見つめながらそう問いかけると、彼女は怯えたような悲しそうな顔をしながら、「うそじゃない」と一言。

「言わないでいようかと思ったんだけど…怖くなっちゃって…」
「…そっか」

男として、女性の初めての相手になるのは嬉しいこと。けれど、それはせいぜい20歳くらいまでのお話。

智花は今年で26歳。モテる女性なら、それなりの経験を積んできて然るべきだと思っていた。

「彼氏、いたことないわけじゃないでしょ…?」
「うん。だけどね…」


智花が今まで男性経験をつんでこなかった理由が語られる…

智花の実家は、関西で代々続く老舗の和菓子屋。一人娘だった彼女は、まさに箱入り娘のように、大切に大切に育てられたという。

「大学生まで実家で暮らしていたんだけど、門限が厳しくて、なかなか夜遊びとか飲み会とかいけなくて…。そのうちお嬢様っていうくくりに入れられちゃって、お誘いもあんまりされなくなちゃったんだよね…」

中高大と女子校で育ってきた彼女は、親元を離れて自分を変えたいと思い、上京したそうだ。けれど、状況はすぐには変わらなかったらしい。

「東京で一人暮らし始めてからだったら、そういうチャンスあったでしょ?」

「うん。お誘いはいっぱいあったんだけど、なんか、この人だ!っていう人になかなか巡り合えなくて…」

恋愛市場から遠ざかっている間に、自分の理想だけがどんどん膨れ上がってしまっていったらしい。

酔った勢いなのか、大きなコンプレックスを打ち明けてしまったからか、堰を切ったように、自分がどういう人を理想としているのか、僕に思いの丈を話し始めた。

どれくらい智花は自分語りをしていただろう、すっかり熱が冷めてしまった僕に向かって、少しはだけたままの彼女は熱い視線を向けてきた。

「だけどね、雄輝さんならずっと一緒にいてもいいなって…」



智花は僕のタイプの女性だ。ルックスもかわいいし、話していて楽しい。…けれど、正直それまでだ。

仕事も忙しく、昔に比べて外食の頻度もぐっと下がった。出会いは少ない。

その中で恋人にするなら彼女かなと思ったレベルであって、まだそこまで本気になれていないし、結婚なんてまだまだ先のこととして考えている。

けれど、彼女から送られてくる視線は重く、真剣すぎるその眼差しに、とてつもない重圧感を覚えてしまったのだ。

「…ありがとう。ゆっくり進めよっか…」
「うん、嬉しい」

その日は、飲み過ぎてしまったと誤魔化し、僕は彼女と添い寝するにとどまった。

そして、徐々に連絡は疎遠になり、最終的には何もなくお別れしてしまった。

男性経験がないという事実を聞いただけなのであれば、彼女との関係は続けられたのかもしれない、正直、惜しいことをしてしまったと思うこともある。

けれど、彼女の男性に対する理想像の高さ、僕に対する熱量に、どうしても息苦しくなってしまい、僕は足を踏み入れることができなかった。

なんの覚悟もないまま一線を越えてしまったら、とんでもない地雷を踏むことになるんじゃないか、僕の嗅覚がそう告げたのだ。


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