毎日すっぴんと部屋着で過ごし、久しぶりにタイトスカートを履いたら、なんだかきつい…?

リモートワークと自粛生活で美容への努力を怠り「女としてヤバい…」と、嘆いていた損保OL・美和。

だが、そんな彼女にまさかのモテ期が到来している。

その理由は、一体…!?

◆これまでのあらすじ

篤哉と善斗の両方から告白された美和。ついに心を決めた、その相手とは…?

▶前回:優しい男と、ドキドキさせてくれる男。2人からのアプローチに揺れる女は、どちらを選ぶ…?



「なかなかイイ感じじゃない?」

リビングを見渡した美和は、思わず感想を口にした。

自分でレイアウトを考え、コーディネートした部屋は、モデルルームのようで我ながら上出来だ。

―この状態を保つように努力しなくちゃ。

片付けが苦手な美和は、いつもあっという間に部屋が混沌としてしまう。だが、これまでのように自分1人で住むわけではない。彼のためにも、生活の基盤を整えようと心に誓った。

このリビングの中で一番のお気に入りである本棚の上に、美和は写真立てを置いた。この本棚は、ヴィンテージショップを巡って見つけ出した、美和の宝物だ。

写真立ては、ゆかりが引越し祝いにと贈ってくれたクリストフルのもの。

散々アドバイスをもらったゆかりには、感謝しかない。彼に決めたと報告した時も「まったく人騒がせだわ」と、嫌味を言いながらも喜んでくれた。

美和が次は何を片付けようかと考えていると、リビングのドアが開いた。

「その本棚、やっぱり素敵だね」

「この前2人で撮った写真を飾ろうと思って。寝室はどう?」

美和は振り返りながら答えた。

「善斗さん」


彼女はなぜ、篤哉を選ばなかったのだろうか?

可視化して分かること


およそ3か月前。

「そっか。分かったよ」

美和が篤哉に交際の断りを入れた時、彼は潔く受け入れてくれた。本心がどうだったのかは分からないが、その声や態度に不満の色は見えず、堂々としている姿に彼らしいなと思った。

篤哉に限ってないと思うが、責められたり、怒られたりしたらどうしようと、いくばくか不安だったため、恐れていた事態にはならなさそうで内心ホッとしていたのだ。

「まあ、転勤もあるしな。俺」

篤哉は、自分に言い聞かせるように言った。彼なりの悔しがり方だったと言えなくもないのだろう。

「もしかしてだけど、好きな人がいた?」

こういう時には、どんな顔でどういう風に喋ればいいのだろうと考えあぐねていた美和に、彼はそんなことを聞いた。

とっさに、篤哉との予定の前に会っていた善斗の顔が、美和の頭の中に浮かんでくる。それがあまりよくないことのような気がして、美和は何かを喋ろうとした口を閉じてしまった。

しかし、それが逆に篤哉にはヒントになってしまったらしい。

「あれ、その顔はそんな感じっぽいな」

篤哉は苦笑した。

「実はそうなの。黙っててごめんなさい」

「そっか。美和は嘘がつけないんだから。…そういう素直なところ、好きだったよ」

少し悲しげに笑う篤哉の表情に、美和の心はチクリと痛んだ。



こうして善斗と付き合うことになった美和。彼が転職したばかりで忙しかったことや世情もあり、デート場所は彼の家がほとんどだった。

そんなある日。善斗が一緒に住まないかと提案してきたことをきっかけに、大急ぎで物件を探して、引っ越すことになったのだ。



「なに、考え事?」

リビングの片付けを終えて、美和がなんとなく自分のノートパソコンを眺めていた時だった。

完全に油断していた。話しかけられたことは問題ではない。そのときに眺めていたものが問題なのだ。

「ううん、なんでもない」

そう答えながら、慌てた素振りに気づかれないようパソコンを閉じるも、美和は焦燥感よりも少しだけ罪悪感に駆られていた。

―さすがに見られたらまずい。

「ちょっと疲れたんじゃない?」

美和の演技はうまくいったようで、善斗は特に何も疑問に思わなかったらしい。覗き込んでくる顔の眼鏡の奥。理知に富んだその瞳は、きっと篤哉は持っていなかったものだろう。

「ううん、大丈夫。そろそろ夜ご飯の時間だね。どうしようか」

「ちょっと散歩に出てみよう。俺もまだ詳しくは知らないけど、色々お店がありそうだし」

2人が引っ越して来た不動前周辺は、目黒や五反田にもすぐ行ける距離。有名店から普段使いの気軽な店まで、ひしめき合っている。

「いいと思う。準備するね」

美和は立ち上がり、あたかも自分も出かける準備をするフリをしながら、目の端で善斗がトイレに消えて行ったのを確認する。その仕草もなるべく自然に行ったつもりだ。

そして再びソファーに座り直すと、画面を素早く開く。

―これ、早く消さないと。

美和は、パソコンに残していた“あるモノ”をそっとゴミ箱に入れた。


美和が慌ててPC上から削除したものとは…?

複雑な気持ち


美和が慌てて削除したのは、至って普通のエクセルシートだ。…ただし、これは美和が篤哉と善斗のどちらと付き合おうか迷った時に作成したもの。

そう、これは様々な角度から篤哉と善斗を比較した結果なのだ。

だから善斗には絶対見せられない。

―最初はちょっと気が引けたけど、ね。

この提案をしてきたのは、親友・ゆかりだ。彼女の同僚に、エクセルを使って比較し、男を選んだ者がいるらしかった。

「結婚したいなら出来るだけ冷静に考えなさい」

電話でキツイことを言ったゆかりは、このエクセル方式とメッセージを送ってくれていたのだ。

確かに項目で並べてみると、彼らに対する自分自身の評価を改めて見直すことになって、最初は面白かった。興味深い、という意味でのそれだったが。

しかし、やっていくうちに仕事のようでだんだん面倒になってくる。

―これじゃ仕事と変わらないじゃん。

こんな無機質な作業で決めることにも、心の片隅で疑問を抱いていた。

だが、美和は気づいたのだ。ゆかりが言う通り、結婚を視野に入れて付き合いたいのなら、冷静になって考えるべきだと。

彼女のアドバイスを頭に叩き込み、エクセルシートを作った結果、善斗になったというわけではない。

実のところ、結論から言えば篤哉が僅差で勝っていた。ではなぜ、篤哉ではなく善斗を選んだのか。



―転勤はちょっとイヤだなあ。

篤哉が東京勤務のままだったら、きっと篤哉を選んでいたことだろう。しかし、彼はあと2週間もすれば大阪に転勤してしまうし、いつ東京の本社に戻って来るかも分からない。

遠距離恋愛の自信がなかった。さらに言えば、篤哉がこの会社で働き続ける以上、全国転勤は一生続く。

仕事を辞めて彼に付いて行ったとして、新たな地に馴染めるのだろうか。考えれば考えるほど、篤哉との未来に不安を感じてしまったのだ。

後悔がない、といえば嘘になる。その一点を除けば、きっと自分は篤哉を選んでいただろうから。

―あ、まずい。

美和は自分の思考がグルグルと回り始めるのを感じた。こんなことを考え始めてしまったら、また負のループに陥るだけだ。

篤哉とは、タイミングが悪かった。そう割り切るしかない。美和は、頭の中から篤哉を追い出した。

今は、善斗と幸せになる未来を追い求める以外ないのだ。

「準備出来た?」

善斗に呼びかけられた美和は「うん!」と、明るく答えて、彼の手をギュッと握りしめた。

せっかく掴んだこの幸せを、絶対に逃さないと。

Fin.

▶前回:優しい男と、ドキドキさせてくれる男。2人からのアプローチに揺れる女は、どちらを選ぶ…?


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