「恋愛では、男が女をリードするべきだ」。そんな考えを抱く人は、男女問わず多いだろう。

外資系コンサルティング会社勤務のエリート男・望月透もまさにそうだ。これまでの交際で常にリードする側だったはずの彼。

ところが恋に落ちたのは、6歳上の女だった。

年齢も経験値も上回る女との意外な出会いは、彼を少しずつ変えていく。新たな自分に戸惑いながら、波乱万丈な恋の行方はいかに…?

◆これまでのあらすじ

毎日のようにカフェに現れるようになった千晶。透が席を外した隙に、朱音は悲しそうな顔で帰ってしまうが…?

▶前回:「私、普段はこんな格好しないんです」いつもと全く違う女の姿に、思わず心を揺さぶられた男



“良かったら、2人で食事に行きませんか”

透は、朱音にメッセージを送った。

あの日から、千晶は毎日カフェに出現するようになった。朱音と話そうとしても割り込んでくるため、まともに話すことが出来ない。

このままではせっかく上手くいきそうだった朱音との関係も終わってしまう。だが、千晶にカフェに来るなというのもおかしな話だ。

彼女と2人で話す時間を早急に作らなければ。透は焦りを感じていたのだ。

その時、スマホがブルブルっと振動した。朱音からの返信に期待しながら画面を見た透は「何だよ」と、思わず吐き捨てる。

“透、今日来ないの?お前が気になってるあの人、いるぞ”

近所に住む友人・大也からだった。彼もまたテレワークで、例のカフェで仕事しているのだろう。

彼のメッセージによれば、朱音も店にいるらしい。大也もいることだし行ってみるかと、透はカフェに向かった。

だが、店内に足を踏み入れた透は、目の前の光景に固まった。大也の「透、久しぶり」という声が遠くに聞こえる。

−どういうことだ…?

そこでは、同じテーブルに座る朱音と千晶が、楽しそうに喋っていたのだ。


朱音と千晶。彼女たちが近づくことになったきっかけとは…?

助けられたけど…


透は、すぐにはその光景を受け入れられず、思わず辺りを見回した。

大也が「ここ座る?」と手招きしたが、今は彼に構っている暇はない。

意中の女性と、幼なじみ。接点はなかったはずの2人が、なぜ親しそうに話しているのかさっぱり分からない。

この短時間で一体2人に何があったのだろうか。透はおそるおそる近づいていき、声をかけた。

「あ、透さん」

「こんにちは。透くん」

2人とも顔を上げ、にこやかな表情を見せたのだが、すぐに千晶が「またあとでね。私たち話してるから」と言い、シッシッと手で追い払う仕草をした。

あなたに用はない、と言わんばかりの強い視線。一体何を考えているのだろうか。

透がその場に立ち尽くしていると、背後から肩を叩かれた。

「遅いよ。もっと早く来いよ」

振り返ると、それは大也だった。



「相手にされないんだったらそこにいてもしょうがないだろ。ほら行くぞ」

透は、大也に引き剥がされるように彼女たちの元を離れ、大也が取ってくれていた席に座った。その間も、透の視線は朱音と千晶に釘付けで、大也はそれを見て苦笑いした。

「そんなに気になるのか?」

「まぁ…」

そこで、透はようやく大也を見た。

「お前が好きなあの、朱音さん?大人な女って感じで、すげー格好良いな」

彼が何のことを言っているのかさっぱり分からず、透は「何が?」と聞き返す。

−朱音さんが格好良い…?

小柄で華奢な朱音と、格好良いという言葉が結びつかない。怪訝な顔をしている透に、大也は先ほど目にした一部始終を話し始めた。

彼によると、カフェで仕事をしていた千晶に1人の男が声をかけた。どういう関係かは分からないが、その男は嫌がる千晶にしつこく話し続けたという。

その時、朱音がちょうど店に入って来た。最初、彼女は他のテーブルに座ったのだが、千晶のピンチを察知したのか、テーブルに近寄ってこう言い放った。

「お待たせしてごめんなさいね。私、ここに座るつもりだったので、ちょっと失礼」

朱音は、その男を退けて千晶のテーブルに着席した。何か言いたげな男に対して、「私たち、ミーティングがあるので。早速始めましょう」と、PCを開いて話し始めた。

すると男は悔しそうな顔で引き下がり、どこかへ消えてしまったらしい。朱音の姿に、貫禄というか格好よさを感じたというのだ。

そんなことがあったのか。それで2人仲良く楽しそうにやっているというわけか。

透は、再び彼女たちのほうを見た。

「やった!今度行きましょうよ」

千晶のはしゃいだ声が聞こえてきた。すると大也が、千晶のことを見ながら声をひそめる。

「それにしても、あの女の子モデルかなんかか?すんごい可愛いな。お前ああいうのは好みじゃないの?」

「あれは幼馴染みだから対象外」

透が答えると、大也は「はぁ?じゃあ俺がアタックしようかな」と、冗談交じりに笑った。


その夜、透と千晶は2人きりになるが、千晶の大胆発言に動揺する…。

−根は、とても良い子なのね。

朱音は、千晶への印象を改めた。

この前の出来事だけみると、気の強い若い子という感じが否めなかったが、実際に話してみるとそこまで苦手なタイプではなかった。

年とともに臆病になってしまった自分にはない、真っ直ぐで努力家で、ひたむきな感じに好印象を持ったのだ。

千晶のピンチを助けたのをきっかけに世間話をしただけだが、意外と盛り上がって楽しかった。

「じゃあ私はそろそろ…」と立ち上がった千晶は、最後にこう付け加えた。

「今日は本当にありがとうございました。でも透さんのことは別なので。朱音さんには負けませんから」

帰る支度をしながら、千晶は不敵に笑った。

「望むところよ」

朱音もそう言って、笑い返した。

「では、失礼します」

千晶を見送った朱音は、スマホを取り出した。透から食事の誘いを受けているが、返信していない。それには理由があった。

さっき千晶に「望むところよ」と言ったのは本心だが、正直に言えば、最近の透の中途半端な態度に、以前のようなトキメキはなくなりつつある。

彼からのメッセージは嬉しかったが、それ以上に朱音を動揺させ、混乱させる電話があったのだ。

−今会ったら、どんな感じなんだろう。



抱いてよ


“今から会えない?”

その夜。カフェで仕事を終え、そのまま『ライド』で大也と食事をしていた透のもとに、千晶からメッセージが届いた。

すぐにスマホを裏返したのを不審に思ったのだろうか。「なに、女?」と大也が不躾に聞いてきたので、千晶からだと告げると、大也は身を乗り出した。

「一緒にどう?呼んだら?」

「いいよ、面倒だし」

一度は断ったものの、大也は「お近づきになりたいんだけど。彼女の友達とか紹介してくれないかなぁ。最近は食事会も減ってるし」とブツブツ言い続け、呼べ呼べとうるさい。

仕方なく、“大也もいるけど良ければ”と返信すると、30分もしないうちに千晶はやってきた。

簡単な自己紹介をした千晶は、すぐに話し始めた。

「今日、朱音さんに助けてもらったの。彼女、とっても良い人ね」

「そう…」

千晶の言葉に、透はうまく反応することが出来ない。なぜなら、彼女の本心が分からなかったからだ。

あれだけ憎々しく彼女のことを見ていた千晶が、そんなすぐに心変わりするものだろうか。何を考えているのかさっぱり分からない。

嫌な空気がその場を覆う。それを察し、居心地の悪さを感じたらしい大也が、「俺、仕事も残っているし帰ろうかな」とその場を立った。

2人きりになった透と千晶だが、特に会話が弾むわけでもなかった。お互い一番聞きたいことは避けているからだろう。

そろそろ帰ろうかと提案したところで、千晶がこう切り出した。

「ねえ。この後、透さんの家に行っても良い?」

「えっ?」

想定外のことに思わず聞き返すと、千晶は顔をグッと近づけてこう言ったのだ。

「私のこと、抱いてよ」


▶前回:「私、普段はこんな格好しないんです」いつもと全く違う女の姿に、思わず心を揺さぶられた男

▶︎Next:10月31日 土曜更新予定
千晶に迫られる透。一方、朱音のもとには1本の電話が入っていた。彼女を動揺させた、その相手とは…?


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