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これは国税庁の『統計年報』から推計する、日本で年収が1億を超える人の割合だ。

彼ら“ミリオネア”に出会える可能性はかなりレアだが、その男たちを射止めた女たちは実際に存在する。

それは一体どんな人物なのか?その生態を探ってみよう。

▶前回:「何これ…?」妻が見てしまった、夫のスーツのポケットから出てきた紙切れの正体



【27歳年上の男を射止めた女】
名前:美加
年齢:38歳
職業:専業主婦(二児の母)
夫の職業:不動産会社代表(創業者)


大学時代に知った、生まれ持った格差


「この間アプリで会った彼…悪くないけど、普通過ぎて決め手に欠けるんだよね」

美加が『とらや本店』のテラスで一人お茶をしていると、自分と同い年くらいの女性たちの会話が耳に入ってきた。

―結婚、焦ってるんだろうな…。

彼女たちと歳が変わらないであろう美加には、まるで想像のできないこと。もう18年も前に、美加は妊娠したからだ。

大学3年生になる年の出来事だった。

地方のサラリーマン家庭で平凡に育った美加は、奨学金を借り東京での大学生活をスタートさせていた。

授業とアルバイト三昧な日々。

欲しいものも行きたいところも山ほどあったが、東京でそれは簡単には叶わない。

そんな中、生まれながらにして勝ち組がいることに気がついたのだ。

実家が青葉台にある一軒家とか、上京する時に親がマンションを買ってくれたとか、そういう類の同年代だ。

―毎日授業とアルバイトで疲れている自分とは全然違う…。ああいう生活がしたい。

そう思い、裕福な男性と付き合い結婚するのが1番早いと感じ、実行に移した。

そして1番身近だったバイト先の社長を、ターゲットにしたのだ。


理想と現実は違う。幸せな生活に突如訪れたのはあの問題

彼は27歳年上でかなり離れていたが、生活感をお金の力でかき消したような雰囲気が好きだったし、可愛がってもらっていたので距離を縮めるのは簡単だった。

浅はかに思えるかもしれないが、当時の美加は必死だったのだ。

…そして、運よく父と同い年の秀一と結婚できた。



「結婚歴がある上に子どももいるなんて、あなたも同じことをいつかされるわよ」

彼と付き合い始めたことを報告したとき、母親はきつく言い放った。その言葉は強烈で、昨日の事のように覚えている。

今思うと、余裕のなかった両親に大学に行かせてもらえただけでありがたいものだ。

しかし、当時は裕福な子達と比べては違いを感じ、お門違いに親を随分と恨んだ。

優雅な生活がしたくて必死だったのだ。そしてやはり、美加のヨミは当たっていた。

秀一は気前も良く、同年代の学生や平凡な父親でも買えないようなプレゼントを沢山してくれたし、気の利いた店を沢山知っていたし、扱いもスマートだった。

―求めていた生活も手に入るし、予想以上に優しい。

歳の近い人との恋愛を諦め、美加は計画的に妊娠。

当時、周りの女子達は同年代と付き合ったり別れたりしながらも最後はよくこんな風に言っていた。

「遊ばなくて稼ぎがよくて優しい人と結婚したい」

それを聞くたび、呆れてため息が出た。

そんな人との出会いは稀だと心得ていない人が多すぎる。

それにもし、そんな人に出会えたとしても『御子息』と呼ばれる部類の生き物であることが多いのだから。

―平凡な育ちでは、彼らとは一緒になれない。

そう悟っていたからこそ、そうした男性との結婚は諦めていたのだ。

それでもこの人だと決めた秀一は優しかったが派手で、結婚前から他の女の気配はそれとなくあった。



それでもトントン拍子で事は進み、付き合って3ヶ月目に妊娠が発覚しめでたく結婚。

結婚を機に、広々とした広尾のマンションに移り住んだ。

―予想以上に上手くいったなぁ…幸せ。

息子も無事産まれ、大学も皆より遅れはしたが卒業できた。

結婚して数年経ったときに、夫の帰りが遅いため寝室を別にしようかと話が出た期間もあったが、その後第二子も無事できたのだ。

「俺の歳で子どもを授かるのは、もう最後かもしれないから」

頼むからもう1人産んで欲しいと秀一から言われ、2人目を決意した。この言葉に、結婚生活で初めて歳の差を感じたのだった。


人より先に来る介護問題


そして初めて歳の差を強く感じてしまったのは、第二子が産まれて間も無くで忙しない日々を過ごしていたときのこと。

当時、まだ美加は27歳だったが、もう秀一は54歳。

秀一の実家は元々北海道。父親は老人ホームに入っており、地元にいる兄が家業を継ぎながら面倒を見ていた。

だが兄が突然亡くなってしまい、家業や父親のことが全て秀一に降りかかってきた。

家業であった不動産業は自分の会社に集約し、父親の介護も含め、出張が増え始めたのもこの頃からだった。

それでも、美加は自分の決めた人だからといつも笑顔で支えた。

子どもをベビーカーに乗せ、長男の手を引き近所を散歩している姿は、知らない人の目には優雅な主婦そのものだっただろう。

しかし、実際100平米越えのマンションは荒れ放題。

その上、秀一は出張続きで美加は孤独だった。

夫が家を空けている間、何をしているかを詮索するという思考を持つ余裕もなかったのだ。


見知らぬ人からの1本の電話、その内容とは

平凡な日々をぶち壊した、夕食前の一本の電話


義兄が亡くなってから10年ほど経ち、2番目の子も10歳になった。

最近は、あの時の忙しない孤独な日々は幻のように思える。

秀一の出張も以前ほどの回数はなく、落ち着いた日々だ。

そんな中、滅多にならない家の電話が鳴った。

「いつもありがとうございます。お忘れ物がございまして、エルメスのピアスかと思われるのですが。こちらお送りする住所は会社の方でよろしいでしょうか」



その日は、秀一が北海道への出張から家に帰ってきた日だった。

―こういう日が来ることは、どこかで予想していたわ。

頭に浮かんだ女性はなんとなく、自分とは違い、バリバリと仕事をしている人のような気がした。

それに、“いつも”ということは何度も宿泊している。

美加には、北海道の自宅もしくは先輩の別荘に泊まると言っているのだが。

動揺を隠しながら、“はい”とだけ答え、美加はすぐに電話を切った。

秀一はお父さんと駆け寄ってきた息子達相手に、スーツを脱ぐことも忘れてお土産を広げている。

「どうかした?美加?」
「ううん、北海道のホテルからだよ」

秀一の目が一瞬泳いだが、お互いその件について何も言わなかった。

何も知らない子ども達は、父親が家にいるとやはりどこか嬉しそうだ。

お風呂に入ろう、と次男が秀一を誘い長男は部屋に入ったのでチャンスとばかりにソファーの上に置きっぱなしのiPhoneを手に取る。

―パスワードは知ってる…1030。

次男の誕生日だ。

『秀一、ありがとう。ニセコって最高だね。大自然の中で住みながらできるビジネス、一緒にやりたいな』

イメージ通りの女性…。

それを知ると、専業主婦として生きている自分は社会とのつながりもなく、何者でもないという現実を突きつけられたようだった。

秀一への愛情は、自覚しているが大して残っていない。

それでもこの生活を手に入れられた安堵と達成感は代えがたいものがある。

それに、お父さんと嬉しそう呼ぶ次男はまだ10歳、長男は18歳。

―まだ、彼らにはお父さんが必要よね。

情はあっても愛はない。

しかしそれ以上にないのは、“自分で稼ぐ力”ということはよく分かっている。

この決断に後悔は一切ない、きっと働いていてもここまで優雅な生活は手に入らなかったから。

だけど、もし自分があのまま苦学生をして大人になったらどんな人生だっただろうと、こんな時は思わずにはいられない。

―ママ、言った通り似たようなことはするね。でもきっと修一さんは歳だから、もう子どもは難しいはず。

あの時の母親からの言葉を不意に思い出した。

優雅だけれど空虚な生活を守るために、今日も美加は大人しく頑張っている。


▶前回:夫のスーツのポケットから、怪しい領収書が…。幸せな妻の座を獲得したはずの“元銀座の女”とは

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若き男女はどうやって一緒にミリオネアに成り上がったのか


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