10代から37歳になるいままで、小栗旬さんは第一線を走り続けている役者だ。

常に大役を任されながらも、期待に応え、年齢ごとに新たな魅力をみせる姿の裏にはいったいどんな心もちがあるのか?

深堀りすると、なぜ彼が長くトップに立つのかがみえてきた。



自分は平凡だと思っているから、人と関わって感性を吸収したい。

大河ドラマの主演にハリウッド映画出演、舞台や邦画の主演も数しれず、小栗旬さんの活動には華々しいタイトルがずらりと並ぶ。

そんな役者はポートレート撮影でも眼差しの深さが違う。力を入れないまま強い印象を与えられる人は限られていて、だから、小栗さんから以下の発言が出たことは意外でしかなかった。

「自分を平凡だと思っているんです」

それは、役者仲間たちと飲むのが好きな理由を聞いた際の言葉だ。

「またまた〜という感じになるかもしれないけど、僕はもの凄く平凡だから、際立った感覚をもつ人たちへの憧れがとても強い。

なんでそんなこと思うの?と感心することがよくあって、それを知ると自分も少し豊かになる気がします。悔しいからもっと知りたいし、聞くうちに、自分にも彼らのような感覚が芽生えると期待しているのかもしれない。

だから、お酒の場が好きなんです。自分が知り合った人がいったいどういう人間なのかを聞けますから。

いま何に興味があるのか、どういう考え方でお芝居を作ろうと思ったのか、日常どんなことを楽しいと思って過ごしているのか、とても気になるんです」



現場でもお酒の席でも、若い頃から才能溢れる俳優に囲まれ刺激を受けてきた。具体的に名前があがったひとりが吉田鋼太郎さんだ。

「鋼太郎さんに出会って、彼からセリフの言い方や舞台の立ち回り、身体の動かし方、そういうことを学んでいったことが大きいですね。ただ鋼太郎さんとは酒を飲んでよくケンカもしました(笑)。

〝俺はあなたの言っていることに納得いきません〞といった会話をよくしていた。自分と24歳違うけれど、そういう話にも凄くつき合ってくれる人なので、鋼太郎さんのような先輩がいたことは自分にとって財産。

だから僕も歳を重ねた時、24歳下の子にケンカを売られても怒らず耳を傾ける先輩になりたいと思っています」


一目置く後輩とは?


若手との交流も大切にしている。

「例えば菅田将暉くんなんて僕からするともの凄い才能に溢れる若手で、彼の話を聞いているのはとても楽しい。仕事についても話すし、たわいもないことも聞くし、色んなことを知りたくなります」

後輩の才能に対しても〝羨ましい〞といった姿勢をみせ、好奇心を湧かす。とはいえ、単に〝平凡〞な俳優だったらこれほど多くの作品で主演をオファーされるわけがない。そう本人に言うと、再び意外な分析をした。

「たぶん、僕ぐらいの感じがちょうどいいんだと思います。突出するものもないし、でもあまりに当たり前というわけでもない。あとは身体がデカかったというのが大きいんじゃないでしょうか。

これは本気でそう感じています。184cmっていまちょうどいい身長なんです。大きすぎず、存在感は出せる。身長がだいぶ俺のことを助けています」

淡々とそう話す。もう、その場にいた誰もが彼の話を謙遜ともキャラ作りとも思っていない。

自分は平凡だという感情がスタート地点。だからこそ人とコミュニケーションを重ね、多くを吸収してきた。今年は直に仲間と集まるのも難しい日々が続き、対面のよさを改めて感じている。

「オンライン飲みをやりましたけど、雑な態度でも成立してしまうし、会うのとは温度が違う。空気で伝わることもあるので、それも含めて人間同士は面白いと思うんです」


日本の若手俳優界で先陣を切ってきた男、小栗旬。

彼の、その経験から導き出される言葉は、ビジネスパーソンにも深く響く。

月刊誌最新号では、トップを走り続ける彼の、その秘訣を5000字で紐解いている。

常に一流を極めたいと思う大人たちがハッとする金言が、見つけられるはずだ。



■information
84年に起きた未解決事件をモチーフにした塩田武士氏の小説『罪の声』を、小栗 旬×星野 源というタッグで映画化。35年前に起こった犯罪をきっかけに出会うふたりが、事件の鍵を握る脅迫テープを頼りに真実を追う

■プロフィール
小栗 旬 1982年生まれ、東京都出身。1995年の役者デビュー以来、多数のドラマ、映画、舞台に出演。2021年全米公開予定のハリウッド映画『ゴジラVSコング(仮)』に出演。2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に主演。北条義時を演じる

■衣装
ジャケット¥265,000、シャツ¥90,000、パンツ¥90,000〈すべてボッテガ・ヴェネタ/ボッテガ・ヴェネタ ジャパン TEL:0120-60-1966〉、その他スタイリスト私物