日本で年収が1億を超える人の割合は「0.019%」と少なく、彼らに出会える可能性はかなりレア。

だがその男たちを射止めた女たちは実際に存在する。それは一体どんな女性なのだろうか?

▶前回:「夫が寝たあとにコッソリ見てしまうのは…」年収1億円の外銀男と結婚した、38歳妻の懺悔



【秘密を抱えた男との結婚】
名前:芽衣
年齢:29歳
職業:専業主婦
夫の職業:投資家(元総合商社勤務)


夫への不満はたったひとつ


「それ、俺が使ったグラスだよね?ありがとう」

芽衣が洗い物をしていると、夫の友樹はいつも声をかけてくれる。

―こんなに気遣ってくれる人は珍しいわ、きっと…。

そう思う度に、自分は間違いなく夫選びに成功したと実感する。

1年前までは香港、その前にはマレーシアに住んでおり、春先から日本へ一時帰国しているが、芽衣たち夫婦はどこの国でもうまくやっていた。

夫は薄めだが整った顔立ちをしており、高身長でスーツもよく似合う。年収も1億を超えた。だが付き合ってからいままで、女性関係で芽衣を心配にさせたことは一度もない。つまり最高の夫なのだ。

今日も「家事の息抜きにランチでもどう?」と誘ってくれて、近所のビストロで仲良く食事をしてきた。

こんな夫婦関係を友人たちはひどく羨ましがるが、芽衣には誰にも言えない悩みが一つだけある。

それは、夫との男女関係だ。


夫が隠している秘密とは…

「どうせなら籍を入れるまで、お互い我慢するのはどう?」

交際してから1ヶ月ほど経ったある日。お昼過ぎの平和な丸の内でスタバのソイラテを買い、手を繋いで幸せいっぱいの気持ちで歩いていた時のことだった。

友樹からのまさかの提案に、芽衣は愕然とした。

人によってはロマンチックに感じるかもしれないが、もしかしたら自分が女性としての魅力に欠けているのかも…とも思ったし、早く大好きな友樹と結ばれたいという焦りもあった。

でも友樹のことを信じていたし、きっと自分は大切にされているのだと言い聞かせ、その提案を受け入れることにした。

後に入籍し、この問題は何事もなく解決するかと期待していたが、まさかの夫婦になっても回数は数える程度。

その上、仕事が忙しいのでぐっすり1人で眠りたいからと、最近は寝室が別なのだ。


とうとう見てしまった…


―このままではいけない…。

そんな風に思い始めたのは、3週後に夫の誕生日が迫っていると気づいた先々週のある日。

思い立ったら吉日と、芽衣は早めの誕生日祝いにと『アマン東京』を予約した。

その日は部屋に籠ろうとルームサービスを頼み、すっかりくつろいだ雰囲気だった。2人が出会ってからこれまでの話や仕事の話をして、東京にいながらの“非日常”を楽しむ。

夫の表情もやはりいつもよりリラックスしているかのように見え、楽しい時間はあっという間に過ぎていったのだった。

―よし、そろそろだ。

ワインの酔いも回り日付が変わる頃、夫からの誘いを心待ちにシャワーへ向かった。

しかし浴室から出てきた芽衣を夫は待っておらず、気持ちよさそうにキングサイズのベッドで寝ていたのだ。

途方もなく悲しい気持ちになった。

やはり自分に女性としての魅力がないのではないか、そしてふと浮かんだのは、もしかして夫は他に好きな人がいるのかもしれないということ。

そう思い出したら止まらず、窓際のデスクに置きっぱなしになっていた夫のAndroidに手が伸びる。

寝入ってることを確認し、何度かのトライのあとロックが解除された。何か怪しいと、常日頃夫が携帯を開くときに後ろから覗いていたのだ。

だがSNS等に浮気の形跡は一切見当たらない。…しかし写真のあるフォルダを開けてみると、ある違和感を覚えた。

夫を紹介してくれた芽衣の同期の写真が、数多くあったのだ。

―え…?なんでわざわざ彼の写真が…?

心の声が、小さな独り言になった。

窓の外の宝石のような東京の夜景を見ながら、夫とのこれまでを思い返していた。



夫とは、新卒で入社した会社が同じだった。

2学年上の友樹は、社内でも有名なイケメンだったので一方的に存在は知っていた。そのため一番仲良しの同期が、芽衣に友樹を紹介してくれると聞いたときは驚いた。

その同期は、友樹の大学時代の後輩。そして複数人でよく飲みにいくようになって急接近し、知り合って7ヶ月くらいで交際に至った。

「友樹先輩は、こんなかっこいいのにチャラチャラしてないんだよ」

友樹を紹介する時に同期はそんな風に言っていたが、元彼の浮気で別れた芽衣は疑心暗鬼だった。

―そんなの、どうせ口だけでしょ…。

出会った当時はそう思っていたが、実際の友樹は誠実そのものだった。聞けば、社会人になってすぐに長年付き合った彼女から結婚を迫られたことで別れて以降、彼女はいないらしい。

そして何度も飲みにいくうちにどんどん友樹を好きになり、その疑いはすっかりなくなっていた。

―先輩の彼女になりたい。

「友樹さん、気がついているかもしれないのですが、私友樹さんのことが好きです」

もう何度目かの2人目の食事の帰り道、好意に気がつかないふりをしているような友樹に芽衣から切り出したのだった。

「俺も気になっていたから…付き合おう」

芽衣は天にも昇るくらいの気持ちになって、それからずっと交際は順調。最高の夫を得て、自分は勝ち組だと思っていたのだ。


夫の気持ちとは…

友樹:強い影響を受けた、アイツの存在


妻が不満を抱いていることは知っている。結婚当初は何とか期待に応えていたが、最近はそんな気持ちがなかなか湧いてこない。

―妻を思う気持ちは、ずっと変わらないのに…。

僕は昔から優等生だった。両親の期待に応えたいと人の何倍も努力し、部活ではキャプテンを務めて、生徒会長もやった。そして都立でトップクラスの高校に進学して、無事難関私大の人気学部に進学。勉強にも部活にも打ち込んだ。

…そこで芽衣を紹介してくれた、リョウに出会った。

彼との出会いが、僕の人生に大きな影響を与えたのだ。

「先輩、本当かっこいいっす。何でもできるんですね」



いつもそう言ってくるリョウこそ、部活も勉強も彼女のこともいつも全力で、僕の方が尊敬していると思う。

大学時代、別に就職先も特別こだわりはなかった。ただお洒落は好きだったから、アパレル業界に進もうかなとぼんやり考えていたくらい。

けれどリョウの存在によって、それもがらりと変わった。リョウは僕を何故だか慕ってくれて、練習終わりによく食事に行っていた時に将来について話すとこう言った。

「俺、商社に入りたいんです。彼女の父親が商社マンで、仕事熱心でカッコ良くて」

リョウは優秀だからきっとその望みを叶えるのだろうと思って、そう伝えたと同時に、こんな考えが頭の片隅に浮かんだ。

―同じ業界に入って、あいつの前を走っていたい。

それがきっかけで、商社を受けて無事入社。その後、幸運なことにリョウも同じ会社に入ってきた。

「サラリーマンなんてこんなもんですよね」と2人で飲み明かした朝、リョウに尊敬されたくて独立を決めた。

僕が動くエネルギー源はいつも、リョウだった。

だからこそ、この頼みを聞かないわけにはいかなかった。

「先輩、彼女作らないのが心配です!同期の芽衣っているんですけど、清楚で真面目で綺麗だけど彼氏がいなくて、みんなで飲みに行きませんか?」

あの日だって、そう。

芽衣は気持ちが良い子で、予想以上に仲良くなり、好きになってくれて結婚までした。会社を辞めるときも、日常の些細な相談事もいつも芽衣にしてきた。

…夜の関係が最近ないこと以外、僕らに一切問題はないのだ。



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