今、焼き鳥を愛するグルメな大人たちの間で、東京スカイツリーに並ぶ、押上エリアの“名所”とされる焼き鳥店があるのをご存じだろうか。

その名は『おみ乃』。店主は、あの『鳥しき』で修業を積み、2019年には念願のミシュランの星も獲得した。

現在、予約は最短でも2ヶ月待ち。都心から押上に人を呼ぶ“求心力”は、何なのか?『おみ乃』の“凄み”を徹底解剖し、その魅力に迫る!


【おみ乃の凄み①:炭】
丁寧な炭の世話が、絶妙な火入れと香りに繋がる


旨い焼き鳥店に不可欠なのは言うまでもなく、「鶏」「炭」「職人の腕」である。

『おみ乃』の焼き鳥が“別格”なのは、とくに「炭」の扱いによるところが大きい。炭は遠赤外線効果が高く、上品な薫香がつきやすい紀州備長炭を使用。

「炭は生きていると思っています。時間が経てば、隙間にできた穴に空気が入り、火柱が立ってしまう。火力を常に一定に保つ為、営業中に焼きながらでも炭を積みます」と語るのは、店主の小美野さん。

鶏の脂が炭にしたたった際に立ちのぼる煙は、その香りまでご馳走になる。

食欲をそそる香りと、絶妙な焼き加減。それらは、炭の性質を熟知した職人のなせる技なのだ。“すみずみ”まで計算された、匠の技が冴えわたる。


【おみ乃の凄み②:素材】
週1で食べたくなる焼き鳥を目指したら、伊達鶏に辿り着いた


鶏はブランドではなく、自分の“焼き”との相性を熟慮したうえで選ぶ。

若鶏ほどの柔らかさはないが、脂の風味がとびきりフレッシュ。そして噛むほどにしなやかな旨みが口の中にほとばしる伊達鶏は、扱いやすい〝万能鶏〞として重宝されている。

しかしその分、個性をきちんと引き出すには焼き手の腕も試されるという。

経験に裏打ちされた的確な仕事があってこそ、素材の良さが引き出され、「また食べたい」と思わせる焼き鳥を生み出すのだ。


【おみ乃の凄み③:火入れ】
焼き技に定評のある『鳥しき』での6年が活きる


横幅90cmの焼き台の、鉄柱の高さぎりぎりまで炭を積み上げて、超近火の強火で焼く『鳥しき』の焼き技を踏襲。

ふんわりとレアに仕上げるよりも、肉をきっちりと焼ききったうえで、部位のポテンシャルを最大限に引き出すのが身上だ。



「はじめて『鳥しき』の皮を食べたときに、かりっとした食感と脂のじゅわりとした旨みが口の中で一体になる感覚に衝撃を受けたんです。これが職人の火入れなのだと」

そんな小美野さん自身も、一串入魂の仕事を貫く。


『おみ乃』で注目すべき、絶品の串をご紹介!

【おみ乃の凄み④:焼き手】
職人としては遅い31歳からの挑戦。覚悟を決めたからこそ、貪欲さと熱意があった


実家は中野の鰻店。子どもの頃から飲食店になじみはあったが、社会に出てSEとして働くうちに実家と同じ炭を扱う飲食に惹かれ、焼き鳥の世界に飛び込んだ。

当時、未経験の小美野さんを受け入れた『鳥しき』の池川義輝さんも、サラリーマンを経ての“転職組”。親方のストイックな背中を見続け、2017年に独立を果たしてからも真摯に焼き鳥道を邁進してきた。

3月には神谷町にも店をオープン予定。本店には、小美野さんが全幅の信頼を置く矢澤正志さんが立つ。

「親方がそうしてくれたように、日本の焼き鳥業界を盛り上げる若手を育てることが、自分なりの恩返しだと思っています」と小美野さん。

ここにも“良い焼き手”の連鎖があった。


『おみ乃』で注目するべき串


おまかせコースはストップ制で6,000円〜。ストップしたい2本手前で声掛けを。

それでは、『おみ乃』で注目すべき絶品の串をご紹介しよう。



まずは、最初に登場することが多い「血肝」。とろりとした食感の中にすこやかな甘みを感じる。



もも肉やぼんじりなどの部位を使った「つくね」は、あえて焼きすぎず、ふわっと軽やかな食感に。



お次は「もも」。柔らかさを保ちながらも、皮目の香ばしさはキープ。



脂ノリのいい「丸ハツ」。生姜をのせて、キレ感を出す工夫がなされている。



良い素材と、計算された炭の扱い。そして名店での経験に基づく職人の焼き技…。『おみ乃』が予約困難店となったのには、確かな理由があった。

焼き鳥好きの心をくすぐる、押上の超人気店。行きたい店リストにぜひ加えたい!