フレンチ、イタリアン、中華にエスニック……あらゆる食ジャンルに精通していても、日本人のベースにあるのは、やっぱり和食。

心の底からしみじみ感動させられる、削りたての鰹節で引く「出汁」にこだわった新店をご紹介しよう。

和食の真髄に触れるような中目黒の新店で、究極の一品を体験したい。


ミシュラン三ツ星の『龍吟』で腕を振るった若き名人が満を持して新店をオープン!

昨年末、中目黒に誕生した日本料理の『炎水』が、早くも食通の間で称賛されている。

店主の伊藤龍亮さんは『龍吟』に9年半務め、後半は副料理長として焼き場を任されていた人だ。

実際に彼の店に行くと、肩書きにとらわれず、独自の世界観に引き込まれるはず。その個性は、「炎」は炭火、「水」は出汁を意味する『炎水』という店名に表れている。


削りたてにしか出せない香りを、すべてのゲストに体験させる

最初の醍醐味は、ひと組ごとに目の前で鰹節を削って一番出汁をとるプレゼンテーション。

「削りたてが最高到達点。削りたてにしかない香りを提供したい」と話す伊藤さん。

出汁に使うのは鹿児島県指宿市産の本枯節。

鰹節は非常に切れ味の鋭いカンナで削るため、横幅が広くツルツルした断面となる。それが香り豊かな出汁の秘訣なのだ。


その鰹節で丁寧に引いた「一番出汁」は、とことん澄み切った味わいで、香りの余韻にまで心酔する。

2月のお椀には、旬を感じられる青森産のあいなめや木の芽などが合わせられる。


食材の声に耳をすませて炭を操り、完璧な火入れを実現する

魚の個性に合わせ、炭を巧みにコントロールして仕上げる焼き物もインパクトが強い。

「炭の炎は3段階あり、魚や部位によって使い分けます。炭の組み方も食材次第です」とは伊藤さん談。


この日焼いていた銚子の金目鯛は、身は柔らかい炎でじんわり焼き、皮は強めで仕上げる。

さらにウォーマーにかけた器に魚を置いた時に入る熱も計算し、炭から離す。結果、旨味をとじ込め食感のコントラストが最高の状態で口に入るのだ。


釜炊きの絶品〆ご飯もたまらない!

たっぷり旬を詰め込んだ〆ご飯は、なんとも贅沢

岐阜のお米「初霜」を土釜で炊き、ホタルイカとふき、若豆をのせた〆のご飯。

釜蓋を開けた瞬間の豊かな香りがまた、食欲をそそる。


口の中でイチゴ大福が完成する、楽しいデザートも

春先のデザートは“いちごぜんざい”の変化形。

白玉が詰められたいちごに小豆をのせて食べれば、甘みと酸のバランスが絶妙な食べ心地。


お持ち帰りもできる自家製プリンも用意。

キャビア瓶に入れられており、30gほどのお手頃サイズ。この極上のひと口感が嬉しい。


カウンターは鰹節を削る前提の設計で、下に組まれた箱に削り節がたまる造り。

そして最大限に香りを届けるため板場と客席をフラットにした。

ゲストは、鰹節が削られる瞬間の香り、削りたての一枚、味つけ前の一番出汁、完成形のお椀と4段階に渡る展開を楽しめて、五感を刺激される。

日本食の原点を見つめ直す食体験は、きっと予約困難店になるだろう。