もう“無難”とは言わせない。MARCH5人寄れば、東大なんて怖くない

もう“無難”とは言わせない。MARCH5人寄れば、東大なんて怖くない

あるベンチャー企業に、MARCH出身の5人の男たちがいた。彼らは、こう呼ばれている。

―無難戦隊MARCHマン―

「平均より良くても、所詮上には上がいる。俺らは、どんな理不尽な仕打ちにも、無心で打ち返すだけだ。」

それが5人の口癖だ。

人材系ベンチャー企業「キャリアナビ」に東大卒の東出が部長に就任。売上に伸び悩む東出は、営業成績最下位だった法政出身・アユムに異動宣告をする。しかし、まだ異動したくないアユムはある賭けに出ようとする。それを知った中央大卒・ユキオが取った行動とは!?



東大卒の嫌味な上司を追い出したい!まず味方につける人物とは?


「これは、一致団結して東出部長を追いだすチャンスだ。俺たちの底力、見せようぜ」

第一営業部ナンバーワンの戦略家と言われる中央大法学部卒・ユキオの言葉に、アユムは目を白黒させた。

「東出部長を追いだす…?」

戦略家・ユキオはこう考えていた。

東出部長は、頭はいいがマネジメント経験は乏しい。事実、東出部長就任以降、第一営業部の士気は下がり、売上も落ちてしまっている。

そこで明らかになった、アユムへの戦力外通告。元々東出部長が嫌いだったユキオは怒りをあらわにしたが、それならばこちらも反撃に出るしかない。

「東出部長が唯一反抗できない相手、まずその人をこちら側につけるんだよ」
「反抗できない相手って…」

この会社で東出部長が反抗できない相手、それはただ1人。

社長だけだ。


戦略家・ユキオ。社長を味方につけられるのか!?

部の予算管理を任せられているユキオは、毎週社長と東出部長、ユキオの3人で打ち合わせの場がある。ユキオは、それを狙った。13時からのミーティングの前に、社長を昼食に誘ったのだ。

場所は水天宮前駅近くの『浜町かねこ』。ここの十割蕎麦が、社長は大好物だ。記憶力のいいユキオは、飲み会の席で社長がちらっと話していたことを覚えていた。



サラリーマンの昼休みは、あっという間に終わってしまう。12時から13時まで1時間あっても、移動時間を考えれば、実質ゆっくりと話せるのは30分あるかないかだ。

天ぷらそばを2つ頼み、ユキオは早速話を切り出した。社長は理論的だが、遠回しな表現を嫌う。

東出部長になってから雰囲気が悪くなっていること、それと比例するように売上も芳しくないこと。第一営業部から戦力外通告を受けているアユムについても、もちろん洗いざらしに話した。

自分より遥かに頭の良い人に、小手先のコミュニケーションは無駄である。常に正直でいること、これがユキオの信条だった。

社長はユキオの話を最後まで聞き、何か思案しているようだった。もちろん社長を味方につけようというユキオの魂胆にも、気づいているだろう。

「…アユムの1,000万の案件は、いつ決まるんだ?」

社長はどうやら、アユムが抱えている競合プレゼンを気にしているようだ。「2週間後です」とユキオが答えると、サクサクに揚げられた穴子の天ぷらをゆっくり噛み下し、こう言った。

「その案件、死ぬ気で決めろ。そしたらアユムの異動はチャラだ」

社長の言葉に、思わずにやりとした。

異動の話を聞いたとき、ユキオはあることが引っかかっていた。競合プレゼンに勝てば第一営業部に残留したい、そのアユムの申し出に東出は「考えておく」とだけしか返答していない。つまり、このバーターは成立していないのだ。

ぎりぎりまで相手を詰める東出のことだから、例えプレゼンに勝っても気に食わなければアユムを異動させるつもりなのだろう。そうなることを防ぐために、何としても社長を味方につけたかった。

恐らく社長は、ユキオの真意に気づいているはずだ。それを踏まえて、「死ぬ気で決めろ」と言っている。やはり、味方につけるべきは社長なのだ。

会社に帰り、さっそくユキオは社長との約束をアユムに話し、他の3人にもメールを送った。

メールタイトルは「作戦会議決行!」。場所は、今夜20時に渋谷の『なみの上』だ。


ユキオの頭脳に火がついた!?

約束の時間20時ぴったりに、渋谷の『なみの上』に5人が集まった。この店は気軽で家庭的な居酒屋メニューを洗練された空間で楽しめる、皆の大好きな店だ。

昔はこうやってよく一緒に飲んでいたが、最近は何となく疎遠になっていた。東出とうまくやっているメンバーと、どうしてもウマが合わないメンバー間に見えない壁ができていたからだ。

しかし今日は、皆が大好きなこの店の名物メニュー「カニクリームコロッケ」を冷たいビールとともに食べていると、5人はかつてのように打ち解けていた。



頃合いを見計らい、今日の幹事であるユキオがついに口火を切った。

「今日は、皆に話があるんだ。アユム、話してくれないか」

ユキオに促され、アユムは今までの経緯を全て話した。この第一営業部から異動の話が出たこと、しかし2週間後に迫るプレゼンに勝てば残留できると社長の確約をユキオが取りつけてくれたこと。

その話が終わるころ、5人には強い連帯意識が生まれていた。

それぞれ心の中に、東出への鬱憤を溜めていたようだ。

ー東出はやはり、俺たちのことをただの駒としてしか見ていないんだ……!

誰も口には出さないが、皆の気持ちは同じだった。

特に5人の中でも一番明るく、決して人の悪口を言わない明治大卒の蒼汰が、本音を吐露したことも皆の心に深く響いた。

「いつも東出部長に“お前は無難の極みだ”って言われるんだ…。今回で、見返してやりたい」

蒼汰の言葉で、5人の気持ちは固まった。


―何としても、プレゼンで勝つ。


それぞれの担当企業がはっきりしているため、5人全員で一緒の案件を持ったことはない。しかし、今回ばかりは違う。

戦略家であるユキオはこう言った。

「プレゼンまで2週間を切っている。土台はできているから、あとはこれを完璧なものにしていこう。皆の力が必要なんだ」

ユキオの説明はこうだった。

今回のプレゼンで、5人それぞれの知恵を出し合う。資料の体裁を整えたり見やすいデザインを作るのは、青学出身の瑛士、売上データなどのグラフ作成は中央大出身のユキオ、人を惹きつける発表の仕方は明治大出身の蒼汰が教え、クライアントについての情報は立教出身の茂雄がリサーチする。

「…みんな、ありがとう!!」

アユムは思わず、涙ぐみそうになった。戦力外通告を受けたあの日から、不安で不安でたまらなかったのだ。

翌日から、MARCHマンたちの一致団結した競合プレゼンに向けた準備が始まった。


▶NEXT:3月28日 火曜更新予定
差し迫るプレゼン本番。しかし早速、ある横やりが入ることになる…!


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