TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG(モニフラ)」(毎週月〜金曜6:59〜)。「New global」のコーナーでは、3月に香港で施行された“国家安全条例”について取り上げました。

◆欧米各国が懸念、「国家安全条例」が施行

香港の議会に当たる「立法会」は3月19日、スパイ活動や国家への反逆防止を目的とする国家安全条例を全会一致で可決。3月23日に施行されました。これに対し、アメリカ国務省のパテル副報道官は、かつて開かれていた香港社会の自由を閉鎖へと加速させる可能性があると懸念を示し、犯罪行為の定義が信じられないほど曖昧だと批判。また、イギリスやカナダ、EUなど世界各国も懸念を示しています。

2014年に起きた「雨傘運動」以来、長年香港の取材を続けてきたキャスターの堀潤は、「この変容は本当に心苦しい、言葉がない」と憂い、これまでの経緯を解説。

この国家安全条例は過去、当局が幾度となく制定を目指すもその度に抗議の声があがり断念。2019年にも「逃亡犯条例」が提出された際、多くの若者が声をあげましたが、その反動で取り締まりが強化。

2020年には中国政府主導で反政府的な動きを取り締まる「香港国家安全維持法」が施行され、その穴を塞ぐべくさらなる条例の制定が必要だと「国家安全条例」ができました。

香港というと、一般的にグルメや夜景など観光地のイメージがありますが、政治においては実に厳しい状況にあります。

株式会社トーチリレー代表取締役の神保拓也さんは「今回の話でいうと、国家機密というものが何を指すのか、その範囲がほとんど制定されていない。そのため、政府側に国家機密と当たると言われてしまえば誰もが罪に問われてしまう。ある記事には、そばで誰が聞いているかわからないので香港の公務員はランチで仕事の話をすることができないとあったが、大きく言論の自由が奪われている。これは相当深刻な印象」と危惧します。

◆「国家安全条例」の内容とは?

国家安全条例は“国家への反逆へスパイ行為”と見做されると罪に問われ、中国または香港政府に対する憎悪・軽蔑・不満などをもたらすことを意図した反乱、組織、出版物の所持といった“扇動行為”も罪に。さらには、国際組織などの分野に干渉をもたらす外国政府・政党・国際組織との協力など“外国勢力による干渉”も罪に問われます。

カナダに事実上の亡命を表明した香港の政治運動家・周庭さんは「何が国家機密なのか、判断できないまま犯罪になる可能性がある。メディアやビジネス活動にも影響が出るかもしれない」と案じています。

では、なぜそんな国家安全条例が制定されたのか。その背景について堀は「基本的には立法会の議員は中国共産党によって選定された人たちだけが候補者資格を持っている。いわゆる体制に異を唱える人は候補者にもなれない」と指摘します。

こうした香港の状況に国際社会文化学者のカン ハンナさんは、「(香港は)国際的な金融的なハブだったり、グローバル人材が集まっていた都市でもあったので、すごく悲しい。今後はアジアの金融の中心としての役割は変わっていくのではないか」と推測します。

ハンさんの意見を受けて堀は、「それだけに日本が民主的であること、自由であること、平和であること、フェアであることがアジア地域における非常に重要な価値になる」と述べます。

新公益連盟 代表理事の白井智子さんも「自由・民主主義が当たり前に与えられたものではないと本当に感じる」と嘆きつつ、堀同様に「そういうなかで我々が自由・民主主義をどう守っていくのか、アジアの砦として問われている」と日本の役割を改めて訴えていました。

※この番組の記事一覧を見る <番組概要>番組名:堀潤モーニングFLAG放送日時:毎週月〜金曜 6:59〜8:30 「エムキャス」でも同時配信キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/番組X(旧Twitter):@morning_flag番組Instagram:@morning_flag