TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。12月5日(木)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、レイ法律事務所 代表弁護士の佐藤大和さんが“芸能人の活動禁止問題”について見解を述べました。

◆芸能人の移籍・独立問題に行政が介入

公正取引委員会が、芸能事務所を退所した芸能人の活動を一定期間禁止する契約は独占禁止法違反に当たるとの見解をまとめました。事務所が強い立場を利用した契約は独占禁止法の「優越的地位の乱用」になり、悪質な場合は行政処分に踏み切ります。

今回問題視された芸能事務所側の行為の1つに、「契約終了後の移籍、独立を制限する行為がある」と佐藤さんは言います。契約書のなかには、特定期間活動禁止する競業避止義務の条項が盛り込まれることがあるそうですが、「芸能人にとって芸能活動は職業。それを完全に奪うことになるので憲法が保障している職業選択の自由を侵害する行為だと思う」と佐藤さん。

しかし、「事務所に従わないとテレビで干されてしまうなど、出演が難しくなってしまう……」とも。また、契約を終了したとしても事務所側は一方的に更新できる規定があり、それも問題になっているそうです。

佐藤さん自身、競業避止義務に関し裁判で争った際、その芸能人の活動禁止期間は半年間だったそうですが、東京地方裁判所の裁判官は「半年ぐらいだったら我慢すればいい」というスタンスだったとか。

総じて佐藤さんは、「競業避止義務はダメなわけじゃない」と前置きしつつ、「代償行為や制限があればいいが、何もなかったら無効になると思っていたので、(今回の見解は)いい動きだと思う」と感想を述べます。

その他にも、低い報酬や報酬の未払い、そして芸名・アーティスト名の帰属の問題もあるそう。これも佐藤さんは裁判で争ったことがあるものの一審は敗訴。裁判官からは「芸能人は、(ファンが)人に付いているから芸名の価値はない、不利益はない」と言われ、同行していたタレントは「一生懸命活動し、芸名が浸透した。それを無価値と言われた」とみんな怒っていたとか。佐藤さんはそうした現状を目の当たりにしてきただけに、「芸名は芸能人、アーティストにとっては大切な財産」と声を大にします。

さらにはSNSアカウントの問題もあり、これについて佐藤さんは「会社のものにする意味はない。持っていても使えない」と言い、「これも活動の制限にあたると思う」と指摘。

◆芸能界にも「移籍金制度を導入すべき」

一方で、事務所側も育ててきた芸能人に突然辞められてしまったら会社が潰れてしまう可能性があります。それだけに佐藤さんは「移籍金制度を導入すべき」と主張。そこで大事なこととして、計算方法における“合理性”と“透明性”を訴えます。

最後に今後の課題として、まずは「公正取引委員会の法的措置等までの迅速さ」を挙げます。事務所側の不当な圧力は今もあるなか、多くの報告書を出しているものの「なんら対応してくれていない、動きが鈍い」と佐藤さん。

さらには、「厚生労働省による労働者との線引き」。芸能人は個人事業主として扱われているため働き方に法律の制限はなく、「労働者かどうかという線引きも必要」と訴えます。その他にも、昨今は薬物問題も多いだけに「芸能人に対する権利と義務の研修」、エンターテインメントに対する「法制度化」も。

佐藤さんの実感としては、「芸能活動をされている方は、精神的にも過重労働になっているのではないか」という思いがあるそう。それだけに業務委託にして芸能人を個人事業主にすればいいという問題に対しても「歯止めが必要」と話していました。

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<番組概要>番組名:モーニングCROSS放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜7:59 「エムキャス」でも同時配信レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/番組Twitter:@morning_cross