情報番組や報道番組でおなじみのニュースキャスター・辛坊治郎氏(64)に直撃。辛坊氏といえば、元大阪市長の橋下徹氏(50)や安倍晋三首相(65)とも近く、選挙のたびに出馬が取りざたされている。コロナ禍による国難とも言える状況下において、いよいよ政界進出もあり得るのか。現在の心境や今後やりたいことを聞いた。

 ——今、一番思うことは

 辛坊:いつ死んでもおかしくない年になってきたので、やりたいことをやっとかないとね。若いときは、60歳になったら違う世界の見え方がしたり煩悩の持ち方も変わったりするかと思ったけど、実際に自分が60歳になったら全然変わらなかった。人間いくつになっても同じですよ。身体能力だけが衰えてる(笑い)。僕も来年65歳で高齢者の仲間入り。体力的にフルスペック(高機能)で動けるのが70歳だと考えると、残された時間はあと5〜6年。だから、ここが一番悩むところなんです。仕事とやりたいこと、どちらを優先するか。コロナというモラトリアム(猶予)をもらって考えてるけど、そろそろ決断を出さないといけない。

 ——失敗に終わったヨットでの太平洋横断(2013年)も

 辛坊:太平洋横断は「行っとかなきゃ」って、強迫観念みたいに常に頭の片隅に巣くってます。一緒に太平洋横断を目指した盲目のセーラー・岩本光弘さんは(19年に)成功させましたからね。「次はお前の番だ」ってメールも来ます。あと1年で仕事を辞めてチャレンジも考えたんだけど、去年から今年にかけていろんな騒動(BS日テレ番組降板)に巻き込まれて“けったくそ”の問題も含めて、辞められなくなっちゃった(笑い)。

 ——確かにいろいろな報道があった

 辛坊:ま、その話はそのへんで(笑い)。

 ——実際にやりたいこととは

 辛坊:結局「最後に残るのは芸術だよな」とか本気で思うんです。若い時から彫刻とか家具作ったりとかするのが好きでね。趣味でずいぶん作ったんですよ。だから、趣味に戻りたいというのはある。自分で言うのもなんだけど、器用ですよ。絵の才能はないけどね(笑い)。美術館とかにもたくさん行きました。最初の海外旅行も美術館巡りが目的でしたから。旅のルーツは芸術巡りなんですよ。

 ——旅の模様をユーチューブにアップしている

 辛坊:今は行きたくてもどこの国も入国させてくれないし、飛行機も飛んでないですけどね。でも、大きな目標としてはアフリカ横断と南米縦断は死ぬまでに行きたい。南米縦断にはスペイン語が必要になるから勉強してます。(音声通訳機の)ポケトークって、よくできてる機械ですけど、電波状況次第ですからね。日本でロシアンパブのお姉ちゃんとロシア語で話すには役立つんだけど、アゼルバイジャンでロシア語で会話しようとしても、全く使い物にならないよ(笑い)。

 ——仕事面では読売テレビ退職後もニュースキャスター、ジャーナリストとして活躍

 辛坊 私はジャーナリストって思ったことは一度もないですよ。ただのテレビ屋。面白けりゃいいと思って、ここまで来ましたから。テレビ局に入ったのも偶然だし、ジャーナリストになりたかったわけでもない。たまたま与えられた仕事をひとつずつこなしてきただけで、カメラの向こう側の人たちにどうやって楽しんでもらえるかと同時に、間違った情報だけは出さない、自分の良心に反することを言わない、しないと思ってきただけです。

 ——コロナでテレビにも変化が押し寄せている

 辛坊:スタジオに人が来ずに、モニターだけで自宅からオンラインってやってますけど、そうなるとテレビである必要がないって話になる。もっと早く地上波のテレビって衰退するかなと思いながらも、意外と踏ん張ってここまで来たんだけど、ついに最後のパラダイムシフト(認識・価値観などの革命的変化)みたいなものが来たなという実感は、テレビマン全員が持ってますね。ただ情報は山ほどあって、最後の決め手は「その情報は誰が出してるの?」という話になると思う。それは個人でも組織でも「あり」だけど、信頼できる情報を出し続けていれば、生き延びられるような気がしますね。メディアがなくなることはないし、必要性はむしろ上がっていくのではないかな。

 ——今一番興味のある話題は

 辛坊:コロナ終息後の日本を考えたときに高齢者の医療、介護、年金、これをどう持続可能にするか。現実に高齢者は公的年金がなければ生きていけないのは事実。だけど、方向性は見えてるはずなのに誰も怖くて手をつけられない。これは日本の政治の無責任なところですね。

 ——来年秋までに衆院選も行われる。常々「天命があれば(出馬)」と話しているが、その時では

 辛坊:言い方悪いけど、陣笠の国会議員にはならないですよ。ウオッチャーとして政治を見てると、いち国会議員で何ができると考えると、できることはそんなに多くない。今の圧倒的自民一強体制の中で、自分の1票が何か世の中を変えられるかとなると、少なくとも来年の衆議院選挙でそんな情勢が生まれるとは思えない。でも、もし、そんな情勢が生まれるという確信が持てたら、橋下徹は絶対に復帰すると思いますよ(笑い)。

 ——一緒に世直ししようと誘われたら

 辛坊:その時は考えます(笑い)。日本ではいち議員、いや大臣でも無理だけど、総理大臣まで行けば変えられる可能性はある。となると、周りを見渡した時に橋下徹くらいしか(候補に)いないんですよ。だから、あいつをいっぺん総理大臣にしたいなという思いはどこかにあります。だって面白そうじゃないですか。むちゃくちゃになって失敗したときは、もう俺も死ぬからいいかってことで。でも、最初にも言ったように、人生最後の分岐点みたいな感じではありますけど、今のところは“政治”という選択肢は入ってませんから(笑い)。

☆しんぼう・じろう=1956年4月11日、鳥取県米子市生まれ。埼玉県入間市育ち。早稲田大学法学部卒業。80年、読売テレビにアナウンサーとして入社。97年に報道局に異動し、司会・解説として情報・報道番組を仕切る。2010年、同社を退職し、自身が設立したシンクタンク「株式会社大阪綜合研究所」代表に就任。現在も「そこまで言って委員会NP」や「ウェークアップ!プラス」の司会を継続。歯に衣着せぬ発言で人気を集めている。