鬼滅ブームが止まらない。大ヒット漫画を原作にしたアニメ映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の興行収入が、16日からの公開10日間にして100億円を突破。30日には「オリコン週間コミックランキング」で、全22巻が上位22位を独占するという快挙も達成された。グッズを含めた関連市場規模は拡大する一方だが、その甘い汁を吸おうと、中国では無関係の企業が「鬼滅の刃」の商標登録を狙っている。

 すごい社会現象だ。関連するニュースが連日報じられている。海賊版やコピー商品摘発のニュースは聞かない日がない。しかし、多くは日本経済にとって明るいニュースだ。

 日本郵便は30日、年賀はがきの公式販売サイトにアクセスが集中し、つながりにくい状態が続いていると明らかにした。「鬼滅の刃」と今年末で活動休止するアイドルグループ「嵐」をデザインした特製年賀はがきに注文が殺到。同社が「受注生産のため品切れの心配はない」と呼び掛けなければいけないほどだ。

 同じく30日には国の伝統的工芸品「三州鬼瓦工芸品」の生産地である愛知県高浜市で、「鬼滅の刃」のキャラクターを彫刻した瓦の記念碑が完成し、除幕式が行われた。「鬼師」と呼ばれる鬼瓦職人が作ったもので、三州瓦工業協同組合(同市)の関係者は「鬼瓦と縁のなかった若い人たちが、いぶし銀の格好良さを知るきっかけになれば」と期待している。

 また、この日、台湾で映画の日本語版が95館で公開された。来月から中国語吹き替え版も上映される。台湾の国営通信社「中央社」によると、主人公・竈門炭治郎の声を担当したチェン・シンユー(銭欣郁)がプレミア上映会に出席し、「アフレコの最中に8回は泣いた」と話したという。

 漫画は14言語に翻訳され、33の国・地域で出版されているように世界的人気の「鬼滅の刃」について、やはり中国ではすでに商標登録申請を行う企業が相次いでいる。日本で劇場版が大ヒットしていることは中国でも大きく報道され、社会現象を巻き起こした。ECサイト(商品販売サイト)で関連グッズも販売されている。

 中国で商標権を管轄している国家知識産権局商標局のサイトで「鬼滅の刃」を検索すると、すでに20以上の中国企業によって商標申請が行われていたというから驚きだ。

 その業種は教育、広告、家具、アパレル、飲食、日用品など多岐にわたる。いずれの企業も現在、許可待ちという状態となっている。

 現在、習近平政権は、自国が世界から「パクリ国家」と呼ばれることを嫌い、国家的にコピー商品、海賊版追放を行っている。そして、世界に恥をさらしたくない政府と、目先の儲けを追求する民間企業のいたちごっこが続く。

 ユーチューブチャンネル「地球ジャーナル ゆあチャン」で情報発信している中国人ジャーナリストの周来友氏はこう語る。

「もし、『鬼滅の刃』が中国企業によって商標登録されるようなことになれば、中国は国として世界的に信用を失うことになるでしょう」

 だからこそ、商標局が許可を出すとは考えにくい。

 しかし、周氏は「中国国内の商標登録については、日本の『無印良品』を展開している株式会社良品計画が中国に進出する際、『無印良品』というブランド名を先に商標登録していた中国企業に提訴され、本家であるはずの良品計画が敗訴するという信じられない事件も起こっています。中国企業による『鬼滅の刃』の商標登録が許可されるようなことが起これば、良品計画と同じような事態となる可能性があるのです」と指摘している。