フジテレビ系「ワイドナショー」19日放送では、政治団体「つばさの党」代表らが逮捕された演説妨害事件をスルーした。「ワイドナ」5日放送でつばさ陣営の一連の騒動について「罵詈雑言」などと批判したことで、つばさ側がフジ上層部の自宅に街宣活動をかける事態に発展。19日放送で〝因縁〟の相手の逮捕劇を取り上げるのを自重したようだ。

「ワイドナ」19日放送では、政治関連のニュースで自民党が政治資金規正法の改正案を単独で提出したことを取り上げたものの、つばさの党代表の黒川敦彦、幹事長の根本良輔両容疑者らが警視庁に公選法違反(自由妨害)の疑いで逮捕された事件はスルーした。

 フジ関係者の話。

「つばさの代表らが逮捕されたのは17日午前、自民の改正案単独提出は17日午後のことです。『ワイドナ』は17日午後にスタジオで収録され、番組内で、自民の改正案単独提出のニュースとともにつばさの代表らの逮捕のニュースを取り上げるのは可能でしたが、自重したようです」

 フジにとってつばさは〝因縁〟の相手だ。

 衆院東京15区補選(4月28日投開票)でつばさ陣営は、無所属新人だった作家の乙武洋匡氏陣営の街頭演説を妨害するなどした。

「ワイドナ」5月5日放送ではこの問題を批判的に紹介。つばさ陣営の妨害行為について、フジの報道局政治部デスクがスタジオ出演し「(ユーチューブの)再生数稼ぎに使っているんじゃないかという指摘がある」などと疑問視した。補選で落選した乙武氏もスタジオ出演し、持論を口にした。

 これを受け、つばさ側が反撃する事態に発展。つばさ関係者がフジ上層部の自宅前に押しかけ、大声で話す街宣活動をかけた。

「『ワイドナ』スタッフたちは、フジ上層部の自宅に街宣をかけられたことに仰天しました。つばさの代表らの逮捕と収録日が同日で、取り上げるのはいったん見送ろうという判断になったようです」(同)

「ワイドナ」5日放送では勢いがよかったが、19日放送では一転して踏みとどまったわけだ。

 反省もあった。

「5日放送は、公平性に欠けていたのではないかという声が出ました。乙武氏の主張を取り上げ、つばさ側の主張を取り上げなかったからです。ほかにも、つばさ陣営が街頭演説中のライバル陣営に浴びせた言葉をテロップで『罵詈雑言』と批判。これは踏み込み過ぎた表現だったのではないかという意見が出ました」(同)

 つばさの一連の騒動は「ワイドナ」にとっても取り扱いが難しかったようだ。