【京成杯(日曜=19日、中山芝内2000メートル)美浦トレセン発秘話】3か月後の皐月賞と同舞台でありながら、京成杯が“隙間重賞”の域を出ないのには理由がある。グレード制導入の1986年以降の歴代の優勝馬でクラシックホースに輝いたのはエイシンフラッシュ(2010年日本ダービー)ただ一頭。連対圏においてもサンツェッペリン(07年皐月賞2着)が続くのみ。この低迷は厳冬期が影響するのだろう。

 早々にクラシックを意識する馬にとって、1月はオフシーズン。非出世レースというより、素材が揃わぬ状況が優勝馬の飛躍を阻んでいる。ホープフルSがGIに昇格した現在、この傾向に拍車はかかろう。

 兆候は、すでに示されている。これまでの優勝馬は最短でも2戦のキャリアを要したが、昨年は新馬Vから直行したラストドラフトがあっさり戴冠。夢(クラシック)より現実(賞金)を選択した戦いなら、実績よりも買うべきは伸びシロか。

 その意味で、今年は5中・新馬戦(芝内1800メートル)を勝ち上がってきたキズナ産駒クリスタルブラックに注目する。特筆すべきは豪快な勝ちっぷり。ゲートの反応がひと息で、道中は5ハロン通過65秒2のスローペースを10番手から運ぶ形だったが…。圧巻はペースが上がった残り3ハロンから。大外を回って上位進出、直線も内にササるのを矯正する程度で、ラスト2ハロン11秒5→11秒5の上がり勝負を制したのだからモノが違った。

「速い時計は直前の2本だけ。それでも時計にならないところでは、しっかり乗っていたし、これでも勝負になると思って送り出した。フィジカル的には、あまりいじめていないけど、とにかく心臓とかモノがいいよね」

 高橋文雅調教師が、この一族を手掛けるのは同馬で3頭目だが、当歳時からスケールを感じたと言葉を続ける。

「やっぱり血統かな。走りっぷりの良さに加えて回転力もある。走る姿は父のキズナに本当に良く似ているよね。いい意味でゆったり感というか遊びがあるし、距離の幅もありそう。今後の物差しにするには京成杯は適所と思うんだけど」

 前走後に放牧を挟んでおり、最終的な出否は最終追いをチェックしてからになりそうだが…。先行馬揃いの組み合わせからも、その“伸びシロ”が今年も怖い。