日本相撲協会は25日午前、大阪府立体育会館で大相撲夏場所(5月10日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議と臨時理事会を開き、関脇朝乃山(26=本名石橋広暉、高砂)の大関昇進を正式に決定。相撲協会からの使者が大阪市内の部屋宿舎で朝乃山と師匠の高砂親方(64=元大関朝潮)に大関昇進を伝えた。高砂部屋からは朝青龍(元横綱)以来の新大関。大先輩にあたる“お騒がせ横綱”と朝乃山の最大の違いとは――。

「大関朝乃山」が正式に誕生した。三役(関脇・小結)を3場所で通過したのは年6場所制以降で2位のスピード記録。平成生まれの大関は4人目で、富山県出身の大関は太刀山(元横綱)以来111年ぶりの快挙だ。本格的な四つ相撲で、真っ向勝負を貫く正攻法のスタイルも大きな魅力。横綱候補としての期待は高い。

 高砂部屋では、朝青龍以来の大関誕生となる。朝青龍と言えば、有名な「サッカー騒動」をはじめ、数々のトラブルで師匠の高砂親方の手を焼かせた。最後は泥酔暴行事件の責任を取る形で2010年初場所後に現役を引退。朝乃山が入門したのは16年で、2人に直接の接点はない。それでも、朝乃山にとっては部屋の大先輩であることに変わりはない。

 朝青龍が気性が激しく破天荒なタイプだったのに対して、朝乃山は温厚な性格で優等生タイプ。その違いは朝乃山が師匠の教えをしっかりと守る姿勢からも見て取れる。新小結となった昨年11月の九州場所以降、大関初挑戦となる春場所を迎えるまでは「大関」という言葉を使わなかった。その理由について「親方が口にしちゃいけないと言っていたので。親方の言うことは絶対だと思う」と説明している。

 昨年8月に師匠から地元後援者への不義理を理由に叱られてからは、それまで以上に後援者やファンを大切にするようになった。こうした直接の指導はもちろんのこと、メディアを通じても師匠の発言をチェック。高砂親方がNHKの大相撲中継で解説を務める際には、録画を見返して真剣に解説の内容に耳を傾けているほどだ。

 謙虚な姿勢は師弟関係だけにとどまらない。朝乃山は「どのプロスポーツ選手も一緒。テングになって上に行く人はいない。大関の貴景勝関(23=千賀ノ浦)は『勝っておごらず』と言っていた通り、態度も大きくなっていないと思う。そこを見習うべきだし、尊敬する」。自分より年下であっても、学ぶべきところは学ぶ。その素直な心がある限り、将来横綱になっても“朝青龍化”する心配はなさそうだ。

☆朝乃山英樹(あさのやま・ひでき)本名石橋広暉。1994年3月1日生まれ。富山市出身。富山商高―近大を経て、16年春場所に三段目100枚目格付け出しで初土俵。17年春場所新十両。同年秋場所新入幕。19年夏場所で平幕優勝。同年九州場所新小結。20年初場所新関脇。優勝1回。殊勲賞2回、敢闘賞3回、技能賞1回。得意は右四つ、寄り。188センチ、177キロ。