【どうなる?東京五輪パラリンピック】ただでさえ大変なのに…。新型コロナウイルス感染拡大によって全国的に休校が長期化しているが、昨今は「9月入学制」の案が浮上。仮に実現すれば来夏に延期された東京五輪・パラリンピックと時期が重なり、大会準備にさらなる大きな影響が出ることになる。そもそもコロナ禍においては世間の五輪への関心も薄れるばかり。それでも準備を進めなければならない大会組織委員会の苦悩は計り知れない。葛藤する現場の“本音”とは――。

 来夏の東京五輪・パラリンピック開催は大丈夫なのか。各競技はいまだ予選大会の見通しが立たず、全43競技会場の継続使用の交渉も五里霧中。ゴールデンウイーク(GW)明けの会見で大会組織委員会は「一刻も早くノーマルな仕事の環境に戻ることを望んでいる」と話したが、緊急事態宣言の延長で雲行きはますます怪しくなってきた。

 さらに追い打ちをかけるのが「9月入学制」の導入案だ。長引く休校を懸念しての打開策だが、これだと入学準備期間と五輪(7月23日〜8月8日)、パラリンピック(8月24日〜9月5日)の日程が丸かぶりとなる。某競技団体の関係者は「パラリンピックのチケットの販売数に影響を与えそう…」と憂いている。

 何より深刻なのが国民の“五輪離れ”だ。新型コロナウイルスの感染が深刻になりだした2月ごろから徐々に「東京五輪どころではない」という風潮が強まり、現時点では日本オリンピック委員会(JOC)の幹部からも「来年の開催は無理。2年後に再延期すべき」との声も出ている。9月入学となったら、世論はますます「中止」に傾くだろう。

 だが、こんな状況でも現場は大会開催へ準備の手を止めることはできない。“親分”の森喜朗会長(82)が「かつてない挑戦」と意気込んでいる限り、いくら頭に「中止」がチラつこうとも、目の前の業務を遂行する以外に道はない。この状況に「本当につらいです」と“本音”を漏らすのは組織委のある職員だ。

「本来なら3年くらいかかる作業を1年でやらなければいけない。ただでさえ大変なのに、世間からは『五輪なんて無理』と批判される。正直、五輪なんて言っている場合じゃないし、自分も心の中では開催できないかもって思っています。この葛藤の中で仕事するのは精神的にきついですね」

 現在、約3800人いる組織委の職員のうち9割程度はリモート業務。対面での業務が避けられないケースもあり、GW期間中に施設所有者のもとへ足を運んで交渉を行った職員もいたという。ある意味で“命懸け”とも言える仕事。何とか報われ、コロナ禍を乗り越えた「レガシー」となってほしいものだが…。