【フロリダ州オーランド11日(日本時間12日)発】まさかの展開だ。WWEのロウ大会が開催され、“ザ・マン”ことロウ女子王者のベッキー・リンチ(33)が妊娠していることを発表して王座を返上した。同時に昨夜のPPV大会「マネー・イン・ザ・バンク(MITB)」女子MITBラダー戦で殊勲の初優勝を決めた“女帝”ことアスカ(38=華名)にベルトを譲渡。アスカが戦わずして新王者となった。

 オープニングに登場したベッキーは、なぜかアスカが獲得した「いつでもどこでも王座に挑戦できる権利証」が入ったブリーフケースを携えている。しかも、はにかんだような表情。戦うカリスマのオーラはなく、女性らしいふくよかな雰囲気に満ちていた。何があったのか?

「みんなに話さなければいけないことがある。今日は悲しみと、そして何より幸せが同居する複雑な心境です。2013年にWWEへ入団した当時は、将来への不安しかなかった。でもここまでこれたのはWWEユニバース(ファン)のおかげ。心から感謝しています」

 まるで引退発表のような発言だが、ベッキーの表情は幸福感に満ちていた。ここで驚いたアスカが登場し、自分が獲得したケースを指差すや「おいおい、それは私が取ったもんやぞ!」と戸惑いつつクレームをつける。
しかしベッキーの回答は予想外かつ衝撃的だった。
 ケースを開けるとそこには権利証ではなく、ロウ女子王座のベルトが…。驚くアスカを前にカリスマはこう続けた。

「実は私は、当分試合をすることができなくなりました。だから昨日のラダー戦はロウ女子王座決定戦だったの。アスカ、あなたがロウ女子のチャンピオンよ。あなたは立派な戦士になりなさい。そして…私は母親になります。とても幸せよ」

 アスカは「えっ?」と一瞬絶句したが「私がチャンピオン? やったー!」と絶叫。ベッキーはアスカの肩にベルトをかけると、これまで何度も激闘を展開してきたライバル同士とは思えない歓喜に満ちたハグを交わし、女帝は何度も「ベッキー、おめでとう!」とカリスマの肩を叩いた。

 バックステージに戻ると数十人の選手が「ベッキー、おめでとう!」と祝福。カリスマは慈愛に満ちた女神のような表情で感謝の意を述べた。

 ベッキーは昨年8月に“マンデーナイト・メサイア”ことセス・ロリンズ(33)と婚約したばかり。出産予定日も含めて詳細は明かされなかったが、長期欠場に入るものと思われる。この日の様子と言葉から判断する限り、出産と育児休暇が終われば、戦いの最前線に復帰する可能性もあるだろう。

 インタビューを受けたアスカは「いや〜欲しかったわこのベルト。欲しくて欲しくてしかたなかったのよ」と小踊り。盟友のカイリ・セイン(31=宝城カイリ)も「えっ、取ったの? すごすぎる〜」と祝福した。アスカはこれでWWEに存在する全ての女子王座(ロウ、スマックダウン、NXT、女子タッグ)を戴冠する「グランドスラム」の偉業を達成したことになる。

「MITB」の衝撃からわずか一夜で風景が変わってしまったWWE女子戦線。今はベッキーが元気でかわいいお子さんを産んでくれることを心から祈るばかりだ。