絶対エースにさらなる任務が課せられる。巨人・菅野智之投手(30)が26日のヤクルト戦に先発したが、5回まで無失点に抑えるも6回に突如崩れ、まさかの5失点KOとなった。なぜか神宮では打ち込まれてしまうが、そうも言っていられない事情もある。バッテリーを組んだ大城卓三捕手(27)をめぐり「裏ミッション」遂行の期待がかけられているからだ。

 エースの降板劇で一時は4点差までリードを広げられた巨人だが、終盤追い上げ、9回には代打・重信の逆転2ランが飛び出し、終わってみれば6―5。劇的勝利となった。

 試合後の原辰徳監督(61)も、エースの乱調については「ちょっと今日は本来のピッチングではなかったね。らしくない打たれ方だった。先発で負けて、抑えで勝ったというね」と苦言を呈していた。

 この試合でマスクをかぶった大城とは、公式戦で2018年にわずか2試合で組んで以来という、久々のバッテリーだった。開幕戦に組んだ小林誠司捕手(31)が左尺骨骨折で戦線離脱。ならば昨季幾度となくマスクをかぶったベテラン・炭谷がいるはずだが、起用されたのは大城――。その背景には、かねて首脳陣の構想にあった菅野―大城の「東海大相模→東海大バッテリー」にある。

 原監督の理想は、やはり「打てる捕手」。打撃だけでなく、大城の守備力向上も認めた指揮官は、オープン戦で菅野とバッテリーを組ませ、小林、炭谷との競争をあおった。

 そして練習試合が再開された2日の西武戦、菅野とコンビを組んだのは大城。開幕マスクの可能性はますます高まっていた。しかしその翌日、坂本とともに新型コロナウイルスの陽性反応が出てしまい、入院という憂き目に…。結局、開幕戦は実績のある菅野―小林の「スガコバコンビ」に落ち着いた。

 今回のヤクルト戦で組まれた、この「TOKAIバッテリー」こそ、ようやく実現した20年の新機軸だったわけだが〝結成〟にさきがけ、菅野にはこんな期待もかけられていた。それは「投手目線から大城を一人前の捕手に育ててほしい」。かつて、ソフトバンク時代の工藤公康氏が、正捕手の期待がかかる城島健司氏を、実戦を通じて配球などを学ばせ育て上げたイメージだ。

 エースの器量を持ち合わせている菅野なら、その気になればできそうな気もするが、実はこれまで、捕手に「教える」ということに関してはあまり積極的ではなかった。以前、菅野は本紙にこう語っていた。

「そこまでの余裕はないですけどね。(調子が)いい時は(教えることも)いいけど…。これは誠司(小林)にも言えることだけど、点差とか、自分の状態もそうだし、相手の傾向もそうだし、全部加味した上で考えないといけないですから」と身をもって教える難しさを明かしていた。

 しかし、2日の西武戦で、菅野は事前の打ち合わせで大城に対して「とにかく意思表示をしっかりしてくれと。勝負したいところは勝負だよっていうジェスチャーだったりとか、ここは低くほしいよっていう…。しっかり自分の意思表示をしてくれっていうふうに頼みました」とリクエスト。周囲にその〝第一歩〟を印象づけていた。

 小林不在の今「TOKAIバッテリー」にかかる期待は大きい。大城が大成するためにも、菅野の安定した投球は不可欠だ。