新型コロナウイルス禍でスポーツ界が徐々に始動する中で、テニス界はピンチを迎えている。

 今月中旬、米国テニス協会は4大大会の全米オープン(8月31日開幕、ニューヨーク)の開催を決断。8月14日にはシティ・オープン(ワシントン)で男子ツアーが再開するが、米国内では感染者が再び急増し“第2波”が懸念される。特に全米オープン開催地のニューヨークでは、訪問者に自主隔離要請が出されるほど切迫している。

 痛恨だったのは男子世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(33=セルビア)が主催した非公式の慈善大会「アドリア・ツアー」だ。感染対策を全く施さなかったことで、ジョコビッチ本人を含む感染者が続出。選手や関係者から「愚かだ」と強烈な非難が相次ぎ、コロナ禍での開催の危険性を露呈した。

 千葉・柏市で行われた無観客のエキシビションマッチ「橋本総業チャレンジテニス」に出場した同48位の西岡良仁(24=ミキハウス)も「この状況下でやれば確実に絶対にみんな(コロナに)かかると思う。明確性がない中で、とりあえず今やりたいからやる感じはどうなのか?」と疑問視。他の選手からも「まだ早い」との声が出ている。

 全米オープン行きを予定する関係者は「見切り発車で安全の根拠がない」と警鐘を鳴らしつつ「大会会場はコロナ患者を収容する臨時病院だった。その場所で復活!というストーリーをどうしてもつくりたいんでしょう」と主催者の“思惑”を指摘。復活劇にふさわしい舞台ではあるが、その前に現実を見る必要がありそうだ。