ソフトバンクは7日の楽天戦(ペイペイドーム)に4―3で競り勝ち、エース・千賀滉大投手(27)の復帰戦を白星で飾った。同点弾を含む3打点の主砲・柳田の言葉が、この試合の重要性を物語っていた。

「千賀が先発するということで、ここから乗っていきたいと思っていた」。負けられないゲームの裏には〝3000球の代償〟に苦しんだエースの前倒し復帰を、是が非でも勝利で飾りたいチームの思いがあった。

「7月反攻」「楽天独走阻止」の願いを込めるように、七夕のナイトゲームで本拠地のマウンドに送り出されたエース。首脳陣との間で複数用意されていた復帰プランの中で「最短」の選択肢だったが、舞台裏では「万全」を期しての復帰を促す声もゼロではなかった。

 昨季は「エース」としてフル回転し、投球回は180・1イニング、球数は大台を超える3077球。責任感でマウンドに立ち続けた証しだった。実は、昨季シーズン終盤から「年間3000球という球数を投げた影響が、正直ゼロだとは考えにくい」と、その代償を不安視する声がチーム内からも上がっていた。

 気が張り詰めた中で、投げ切れた3077球。ゆえに〝無理〟を懸念する声は少なくなかった。「日の丸」へのこだわりが強い右腕が、昨秋の「プレミア12」を泣く泣く辞退。世間の様々な声がある中で下した苦渋の決断を球界内でとがめる声は少なかった。

 この日の試合前、千賀は監督室のドアをノック。工藤監督は「どうしたんだと思ったが、エースの自覚として開幕に合わせられなかったことが頭の中にあったのかもしれない」と心中を察した。5回3失点で復帰戦勝利も、右腕は試合後「野手、中継ぎの皆さんのおかげ。週アタマで5回で降りるようじゃ、足を引っ張っているようなもの」と反省の弁を並べた。

 周囲の不安をよそに、責任感の強さから、前倒しで戦場に帰還した千賀。「次は千賀が頑張ってくれるんじゃないですか」と柳田が笑ったように、鷹のエースが真の姿を取り戻すのはこれからだ。