ついに広島・佐々岡真司監督(53)が大なたを振るった。28日のDeNA戦(マツダ)では開幕から4番を託してきた鈴木誠也外野手(26)を今季初めて3番で起用。これが当たってチームは4―0で勝利し、連敗を2で止めた。当面は新打順が採用される見通しで、打率2割9分7厘、18本塁打、50打点と力を発揮し切れていない赤ヘルの主砲が復活するきっかけとなるか注目だ。


 試合前からマツダスタジアムが沸いた。スタメン発表で「3番・ライト・鈴木誠也」がコールされると1万5602人の観衆からどよめきが起こった。

 この用兵はいきなりハマった。初回一死三塁の場面で第1打席を迎えた鈴木誠は、相手先発・京山の直球を捉えて右翼へきっちりと犠飛。貴重な先制点をたたき出し「大盛と(田中)広輔さんが良い形でチャンスを作ってくれたので返すことができてよかったです」と喜びのコメントを発した。

 この一打で勢いに乗ったチームは勝利し、連敗は2でストップ。思い切った打順変更に踏み切った佐々岡監督は「(3番は)初回に必ず回ってくるので(鈴木誠の)打席数を増やしたいという思いがあった。今の野球は2番最強というのもあるが、3番もそういうところがある。一番いい打者の打席数が増えるので」と意図を説明した。

 鈴木誠のプライドを気遣ってか少々、奥歯に物の挟まったような言い回しではあったが、今回の決断には周囲も歓迎している。球団関係者からも「責任感が強いので精神的にも負担が大きく打撃にも影響していたんじゃないか。侍ジャパンでも大活躍したことから4番のイメージが付いているが、もともとは3番タイプ。この打順で気持ちを楽にして打ってほしい」と〝3番効果〟による復調に期待を寄せる声が上がった。

 今季のセ・リーグでは巨人・岡本和真内野手(24)やヤクルト・村上宗隆内野手(20)といった若き4番が大活躍。し烈なタイトル争いを繰り広げている。その要因として考えられるのは岡本には坂本や丸、村上には山田や青木と前後を固め、時に助言もしてくれる頼もしい先輩たちがいて、のびのびとプレーできる状況にあること。一方、鈴木誠は「西川が負傷で離脱してから前を打つ3番が固定できず、マークもきつくなった」(チーム関係者)と孤軍奮闘の状況が続き、負のスパイラルに陥っていた。

 鈴木誠に代わって大役を務めた松山竜平外野手(35)は昨年までに先発4番で通算87試合に出場し、打率3割1分8厘、12本塁打、73打点と勝負強さを発揮してきた。これを機に鈴木誠が重圧から解き放たれれば、本来の打撃を取り戻すきっかけとなる可能性もある。今季残り36試合。今まで味わった苦しみをプラスに変えるためにも、ここから逆襲といきたいところだ。