ドミニカ勢による国内版〝ジャイアンツ・アカデミー〟体制は維持できるのか――。V2に向けひた走る巨人・原辰徳監督(62)の追求する常勝軍団構築には優良外国人選手の安定供給が必要となる。その柱のひとつであるドミニカ共和国でのトライアウト実施が、新型コロナ禍により困難に直面しているという。


 V2に向け優勝マジック24と独走する中、原監督は27日の中日戦(東京ドーム)で育成出身のエスタミー・ウレーニャ内野手(21)を「7番・左翼」で初めてスタメン起用。プロ初安打という結果で応えたカリブの若武者に「まだ若いんですけど潜在能力も含めて将来楽しみな選手。チームにとっても彼にとっても非常に大きな一打になると思いますね」と大満足な様子だった。

 順調にマジックを消化するのと同時に指揮官は育成も忘れていない。ウレーニャは昨年11月、阿部二軍監督がドミニカ共和国でのトライアウトを視察して獲得を後押しした経緯がある。今季、育成から昇格した5選手中、モタ、ディプラン、ウレーニャと3選手がトライアウト組で、育成の出世頭メルセデス、助っ人として獲得したデラロサ、サンチェスを合わせ6人がドミニカンだ。

 現在、巨人は現地でダイヤの原石を見つけ、育成契約→三軍で育てるという国内版〝ジャイアンツ・アカデミー〟のシステムを構築。山口オーナーも今年初頭に「(ドミニカ共和国から)せっかく成長する可能性を秘めた選手が集まってきているわけだから、その可能性を潰さないようにしていく。可能性を最大限に引き伸ばせるような体制、指導をする。一種のチームのようなものを作っていかないといけないんじゃないかなというふうに思ってますけどね。そんな話も阿部二軍監督とはしました」とドミニカ勢に期待を寄せていた。

 成否のカギを握るのが約150人の候補者から原石を探し出すトライアウト。「当然、やりたいし実施する方向で動いている」(巨人関係者)ものの、新型コロナ禍が大きな足かせとなっているという。

 ひとつは候補選手たちの練習不足。日本ではプロ野球観客数の上限も増え、飲食店の営業もほぼ通常通りになるなど日常を取り戻しつつあるが、人口1063万人と日本の約12分の1以下ながら累計感染者数が10万人を超えているドミニカ共和国では、現在も夜間外出禁止(平日午後7時〜午前5時、土日午後5時〜午前5時)の状態。経済への影響も大きく「選手たちも生活優先のため、ほとんど練習ができてない」(球界関係者)。

 加えてビザの問題により担当者を派遣できるかも現時点では不透明。トライアウト実施には総額1億円以上がかかるとされており、リモート映像による選別は「実際に選手を見てみないと獲得は無理」(前出関係者)と現実的ではないという。

 新型コロナ禍というやむを得ない事情ながら、中止となればチームの外国人戦略への影響は避けられない。今後も現地情勢を精査し、トライアウト実施に向け可能性を探っていくことになりそうだ。