青森県出身者2人のノミネートで注目される第162回芥川賞、直木賞の選考会が15日夕方から東京都内で開かれる。このうち芥川賞候補となった八戸市出身の木村友祐(ゆうすけ)さんの「幼な子の聖戦」(すばる2019年11月号)は、南部地方にある架空の村と村長選挙が舞台。文中の描写からは新郷村をモデルにしたとも読み取れるため、いち早く作品に触れた村民の間で話題となり始めている。

 新郷村では17年、新人2人による村長選挙が行われた。翌18年、木村さんは村を数度訪れていたという。

 その際に言葉を交わした村内の男性は「礼儀正しく、きさくな人という印象。選挙の話は特に出ず、村やキリストの墓に興味があるのかと思っていた」と振り返る。作品の内容には「あくまで空想の話」と強調しながら、「実際の選挙と似た部分もあり、これが世に出てもいいのかと感じるほど」と話した。

 「この辺の方言をそのまま使っていて迫力がある。人物の背景もつい想像してしまう」。最近作品の存在を知ったという60代男性は、リアルな南部弁とそれを話す登場人物に引かれ、一気に読んだ。ただ「現実離れした部分と現実に近い要素が入り交じり、村民として何とも言えない」と複雑な心境を口にした。

 50代男性は「読む人により受け取り方は十人十色だろう」と前置きした上で、「登場人物のような人たちが現実にいると思われるのは心外。政治に関わる人たちはどんな感想を持つだろうか」と語った。

 一方、直木賞には八戸市出身の呉勝浩さんの「スワン」(KADOKAWA)が候補入りしている。