昨年大不漁に見舞われたサケの漁獲量回復に向けて、青森県の沿岸漁協とふ化場がある内水面漁協が連携する動きが出ている。八戸市南浜漁協所属の定置網船が15日、漁獲したサケを奥入瀬川鮭鱒増殖漁協(十和田市)に初めて提供。同漁協で採卵・授精させた後、受精卵を馬渕川さけ・ます増殖漁協(南部町)に送り、ふ化・放流する。数年後に遡上(そじょう)・回遊する資源を増やしたい考え。漁獲量回復を巡って河川と沿岸の漁協の協力関係はこれまでほとんどなかったが、危機感を背景にタッグを組む。

 県水産振興課が県内漁協の報告を基に集計した「県サケ速報」によると、2019年の青森県沿岸の漁獲量は前年比52%減の1852トン。河川は前年から67%減の4万3630匹と、いずれも大きく落ち込んだ。年間売上金額の7割前後がサケの定置網船などにとっては死活問題だ。

 県八戸水産事務所によると、県内では12年に百石町漁協(おいらせ町)と奥入瀬川漁協がサケマス増殖対策協議会を設立。漁期を通じて安定した漁獲量を得るのを目的に海で漁獲したサケを川に提供する取り組みを続けている。

 これを参考に、昨年の不漁を受けて漁獲量自体の増加を狙いに、南浜漁協の深川修一組合長が奥入瀬川漁協にサケの提供を打診。最終的に、今期の放流が遅れている馬渕川漁協がふ化・放流することとした。

 15日未明、深川組合長が所有する「第58日の出丸」が種差沖に設置した定置網でサケを漁獲。サケはこの時期終漁間近で漁獲量は少なかったが、19匹を提供用に準備したタンクに詰めた。数万個の卵を提供できるという。その後、八戸港第3魚市場岸壁で待っていた奥入瀬川漁協関係者に引き渡した。

 奥入瀬川漁協関係者とともに水揚げ作業を見守っていた馬渕川漁協の川守田稔組合長は「提供はありがたい。ハマの漁業者のためにもサケを放流し増やしていきたい」と話した。

 深川組合長は今後、三八地域の漁協に内水面漁協との協力体制の構築を呼びかけていく考えで、「海も川も苦しい状況は同じ。県など行政も含めて話し合いの場をつくり連携を深めていくことが重要だ」と述べた。