「合併効果を出すのは10年でも簡単ではない」「合併しないことが逆に強みになったりもする」。県内の複数の金融筋は金融機関の合併の難しさをこう説く。

 全国的に地方銀行の統合や提携が相次ぎ、青森県でも青森銀行とみちのく銀行の包括的連携が進む。人口減少やマイナス金利による収益減が背景にあるが、県内では約10年前の合併で信用金庫が二つに集約され、信金の再編が一巡した。3信金の合併で誕生した青い森信金(八戸市)、合併協議に加わりながらも単独の道を選んだ東奥信金(弘前市)。この判断は両信金の経営にどう影響しているのか−。

 2009年11月、八戸信金(八戸市)を母体にあおもり信金(青森市)、下北信金(むつ市)が合併した青い森信金。それぞれ地域限定で営業してきたが、合併で営業エリアは一気に全県に広がり、青銀やみち銀と同じ土俵になった。預金量は東北の信金でトップ。全県で顧客を取り込める利点があった。一方で、店舗再編や地域特性を把握した上での融資判断、職員の融和などは合併当初から課題に上がっていた。

 「(11年の)東日本大震災の影響もあり、地域バランスを考えるとなかなか短期間で店舗削減が進まなかった」。青い森信金経営企画部の泉山謙一部付部長はそう語る。増えた店舗を再編するのは合併後の第一段階だが、これが停滞したことは否めない。

 青い森信金の店舗数は、合併した09年11月時点で75店。合併当初から予定していた削減を進め18年3月末には64店になったが、約9年で削減数は11店だった。18年3月には、20年3月末までに15店削減し49店にする計画を打ち出し、店舗再編を加速させている。「顧客サービスを維持するには、自身の収益を上げなければいけない。やむなし」と泉山部付部長は語る。

 ここにきて急速に店舗削減に取り組むのは、超低金利により、貸出金の利回りから預金利回りや物件費、人件費などの経費を引いた「総資金利ざや」がマイナス0.01%(18年度平均)という厳しい状況がある。利ざやのマイナスは「逆ざや」と言い、貸し出しや有価証券運用での利益より経費が上回っていることを示す。貸出金は合併後の10年3月期の3132億円から、19年3月期は2318億円に大きく減少。ほかの金融機関に流出した可能性がある。

 ただ、19年3月期の決算で、本業の収益を示すコア業務純益は1632万円となり2年続いた赤字を脱出。店舗削減の効果が表れた格好だ。青い森信金は、合併直前に旧あおもり信金が信金中央金庫から資本注入を受けた優先出資100億円を引き継いだ。これまでの積み立てから18年度に20億円を消却しており「まだまだ経営体力は維持している」(信金関係者)。

 信金業界に詳しい関係者は「青い森信金は全県に営業エリアが広がり、収益の確保に苦しんだ。母体は八戸信金。津軽や下北などの地域では八戸と客層も違い、融資判断も難しかったようだ。でも、なんだかんだ言っても青い森信金は八戸地区で強い。これからどう収益力をつけるかだ」と分析している。

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 第2部は、地銀と比べて小規模な中小零細企業や地域の個人客を主な顧客とする信金と信用組合に焦点を当てる。