戦没者の顕彰と慰霊、遺族の処遇改善活動をしている公益社団法人県遺族連合会(齋藤文昭理事長)が終戦から80年を迎える2025年度を最後に、活動の休止を検討していることが12日、同会への取材で分かった。高齢化に伴う会員数減少で会費収入が減り、活動資金が不足していることが要因。現在は都道府県ごとに47の遺族会があり、仮に青森県の遺族連合会が活動休止と同時に解散を選択すれば、都道府県単位の組織で初めての解散となる可能性がある。県遺族連合会は今後、理事会や総会などで会の方向性を検討していく。

 同会は戦没者遺族の全国組織の一員として1947年11月に発足。72年に社団法人として認可され、2014年に公益社団法人への移行認可を受けた。同会によると、00年に1万2千人いた会員は10年に1万1千人、15年に8千人、19年に5千人に減少。毎年、県戦没者遺族大会の開催や1964年に沖縄県糸満市に設置された沖縄、中国、南方諸島で亡くなった青森県出身の戦没者の碑「みちのくの塔」の管理や慰霊などの事業を行っている。

 かつては1億円以上の基金があり、運用してきたが、2018年度決算時の基金は約3300万円。19年度の予算は、収入が会費約200万円に、みちのくの塔の管理や慰霊事業に関する県補助金、他団体からの事務委託費などを合わせた計約535万円に対し、支出は1736万円。約1200万円の赤字分は基金を取り崩し、19年度末の基金は約2千万円になる見通しだ。

 同会は25年度まで戦没者の顕彰・慰霊を中心に活動を続ける意向だが、20年度以降は基金の枯渇により事業を大幅に縮小する方針だ。

 同会が活動を休止すれば、みちのくの塔の管理や、戦没者の顕彰・慰霊事業をどの団体が行うかという問題が残る。一方で、任意団体として存続する場合は、最低限の活動を続けながらも、事務局体制も含めて検討することになる。

 2月10日には青森市内で組織運営会議を開催。今後について話し合い、会員に活動資金確保の協力を求めることを決めた。齋藤理事長は取材に「仮に遺族会がなくなったとしても、次の世代に戦争の悲惨さや現在の日本の平和の尊さを訴える活動は続けていく必要があり、どこかで継承していかなければならないと思う」と語った。