青森県黒石市の鳴海醸造店(鳴海信宏社長)が、2018年に復活した黒石市のすし米「ムツニシキ」を使った初めての純米酒造りに取り組んでいる。12日は蔵人らがもろみを仕込む最終工程の「留添(とめぞ)え」を行った。3〜4週間後にもろみを搾り、3月中に四合瓶(720ミリリットル入り)約2千本を出荷する予定。

 すし米を日本酒にする取り組みは、ムツニシキを広くPRしようと市が発案した。同店は、仕入れた昨年産のムツニシキ約1300キロを精米歩合60%まで削り、約720キロを1月下旬から仕込み始めた。

 この日は、杜氏(とうじ)を兼ねる鳴海社長と蔵人5人が、芳醇(ほうじゅん)な香りが漂う仕込み蔵で、ムツニシキ300キロほどを蒸し上げ、冷やして適温に調整。もろみをためた約3千リットルのタンク1基に次々と投入し、タンク内の麹(こうじ)や水などと、加えた蒸米をなじませるためにかき混ぜる「櫂(かい)入れ」を行った。

 鳴海社長は「米自体が硬く、麹造りや、米を蒸す前の吸水で苦労した。初めての米で味は搾ってみなければ分からないが、順調にきていて出来上がりが楽しみ。ムツニシキを使った酒とすしを、一緒に楽しんでほしい」と話した。

 ムツニシキは食味に優れ、1971年に県の奨励品種となったが、栽培が難しいことなどから普及が進まなかった。市はすし米として売り込もうと、2015年から復活を目指して試験栽培し、18年11月から提供が始まった。

 市農林課によると、昨年は市内の生産者11人が8.6ヘクタールに作付けし、約39トンを収穫した。今年も同程度の作付けを見込んでいる。