青森県出身でともに弘前大学を卒業した新進気鋭の2人の漫画家が今、勢いに乗っている。県内で創作活動を続ける「もぐす」さん(年齢非公表)は、デビュー作「恋と呼ぶには気持ち悪い」(一迅社)のテレビアニメ化が決定。平川市出身の「新挑限(あらいどかぎり)」さん(年齢非公表)は、津軽地方を舞台に描いた「じいさんばあさん若返る」がKADOKAWAから22日に第1巻が発売され、翌日には重版が決定した。2人は「青森にいても漫画は描ける」「地元ならではの物語を描くことができた」と話し、次のステージに一歩踏み出す。

 「えっ、本当ですか、と言ってしまいました。信じられなかったです」。もぐすさんは今年1月に「恋と呼ぶには−」のテレビアニメ化を一迅社の編集者から聞き、驚きを隠せなかった。放映時期や放映局などは未定だが、長年の夢が形になった瞬間だった。

 女癖の悪いエリート社会人「亮」が、オタクの女子高生「一花」に狂信的な恋をする物語。ウェブ漫画誌「comic POOL(コミック プール)」で連載中で、単行本は電子書籍を含め累計100万部を突破している。

 もぐすさんは小学生の頃から絵を描くのが好きで、大学卒業後は一般企業に勤めながら漫画を描いていた。「SNS(会員制交流サイト)に投稿した作品を見てくれた一迅社から連絡が来て、この機会を逃してはいけないと思った」。2016年に単行本の第1巻を同社から発売し、漫画家として本格的にデビューした。

 「青森にいても漫画は描ける」と、青森県に住みながら漫画を描き続ける。「非日常的な物語を読むことが、心を休めるきっかけになったらうれしい。今後はさまざまなジャンルに挑戦していきたい」と意気込む。

 一方の新挑さんは、弘前大在学中の18年に「幼なじみになじみたい」でデビュー。「じいさんばあさん−」は2作目となる。現在の活動場所は公表していない。

 「じいさんばあさん−」は、とある理由で老夫婦が突然若返ってしまうという物語で、主人公のじいさま「正蔵」と、ばあさま「イネ」はリンゴ農家。「高齢化や少子化など地域の問題について、『若返った』というユーモアを含め描いてみようと思った」と新挑さん。作品はツイッターで公開されており、総閲覧数は6千万回を突破している。

 作中には東京に憧れを抱く男子学生らが登場し、若返った正蔵とイネがリンゴ畑で働く姿を見て、「俺農家になろうかな」「俺も別に東京じゃなくていいかも」とつぶやくシーンがある。新挑さんは「年配の方だけでなく、若者が農作業をする姿もかっこいいと伝えたい」と思いを語る。

 青森と東京を行き来するうちに、東京にはないものが地元にいっぱいあることに気づいたという。作中には弘前中央食品市場など実在の場所が登場するほか、津軽弁や雪かきなど“青森らしさ”も詰め込まれている。「青森ならではの物語を描けた。内容を気に入ってくれたらうれしい」