波打ち際まで天然の芝生が広がる三陸復興国立公園の種差天然芝生地(青森県八戸市)。はだしで歩きながら海風を感じられる風光明媚(めいび)な場所として人気だ。その天然芝生地に新型コロナウイルス感染拡大以降、犬のふんが増えている。清掃などを行っている種差観光協会(柳沢卓美会長)は処理に頭を抱えている。

 種差天然芝生地は、種差海岸を代表する景観。天然芝と海沿いの険しい岩礁のコントラストが魅力で国内外から多くの人が訪れる。ピクニックをしたり、ごろんと横になったり。はだしで駆け回る子もいる。

 同協会によると、犬のふんは以前から問題になっていた。松の木の根元に用を足したまま置いていったり、ポリ袋にふんを入れた状態で放置していくという。公衆便所のごみ箱やキャンプ場に捨てていく飼い主もいる。これまで1日に2〜3カ所程度だったものが、新型コロナウイルス拡大以降は多い日で1日10カ所にも及んでいるという。また、ブラッシングした後の毛を放置していくケースも増えている。理由は分かっていない。

 種差の芝生地は普段、同協会が管理している。メンバーの斉藤京子さん(70)と中村モトさん(73)は週4日、朝から夕方まで定期的に芝生地を巡回し、清掃を行う。中村さんは「最近はごみくず拾いよりも犬のふん処理の方が多くなっている」とポツリ。「きれいになったとさっぱりしても、数時間後にまたふんが放置してあると悲しくなる」

 2人は、犬を連れて歩く飼い主にふんを持ち帰るよう声掛けも行ってきた。ただ中にはムッとしたり、にらみつけるような態度を見せる人もおり、「怖くて声が掛けづらい」状態だ。マナーを守って散歩している飼い主が、観光客から「(芝生地を)汚しているのはあんたたちだ」と苦情を言われるなど、ふんに関するトラブルも発生している。

 斉藤さんは「もし寝転んだ場所にふんがあったらどんな気持ちになるか。飼い主には逆の立場から考えて行動してほしい」と話す。

 環境省によると、国立公園内に犬を持ち込むことに規制はないという。

 同省八戸自然保護官事務所の太刀川晴之保護官(26)は「芝生地は地域住民や観光客にとって憩いの場。誰もが安全に気持ちよく利用するためにもマナーを守ることをお願いしたい」と話している。