青森県八戸市の八戸ブックセンターの企画運営専門員・森花子さん(34)が、特別な思いを込めて絵本コーナーを設置した。森さんが小学生の頃から20年以上文通を続けたという絵本作家の故おかべりかさんの作品を集めた企画で「私と同じように、八戸の子どもたちにも、おかべさんの本を読んで楽しいと思ってもらえたらうれしい」と話した。

 森さんがおかべさんの作品「よい子への道」(福音館書店)に出合ったのは、小学校中学年の頃。子ども向け読み物雑誌に掲載されていた同作品を読み、その面白さに衝撃を受けたという。思いを伝えようと、思い切って作者のおかべさん宛てのファンレターを雑誌編集部に出したところ、予想外におかべさん本人から返事が届いた。それ以来、おかべさんと森さんの文通は、おかべさんが亡くなる2017年まで続いた。

 手紙は年に1〜3回ほどのやりとりで、森さんは、学校での悩み事、人生の節目の報告などを書いていたという。「おかべさんは、ちょっとした悩みにも、便せん5、6枚の分厚い返事をくれた。私にとって、特別な存在だった」と振り返る。

 横浜市出身の森さんは、首都圏の書店などで働いた後、2016年に八戸市に移りブックセンターに勤務している。八戸に移ることを報告した後のおかべさんからの返事には、「八戸で頑張るあなたを応援している」と書いてあったという。結果的にそれが最後の手紙となったが、森さんは「八戸で、おかべさんの企画を開催できることに不思議な縁を感じる」と語った。

 「よい子への道」は、よい子になるために、やってはいけないことを紹介しているユーモラスな絵本。そのシリーズの新刊「よい子練習帳」(福音館書店)が今年6月に出版となった。森さんは「おかべさんが亡くなった後に新刊が出ることに驚いたが、これを機会に、おかべさんの本を紹介できればと、コーナーを設置した」と話した。

 イラストレーターの顔も持つ森さんは、小冊子も制作。今回が第1号で、絵本を中心に紹介する。初回はおかべさんの絵本を紹介する特集を組んでおり、不定期で発行する。森さんは「小冊子を前から作りたいと思っていながら実現していなかったが、おかべさんのコーナーに合わせて作ろうと勢いがついた。おかべさんも喜んでくれるといいな」とほほ笑んだ。