横浜市営バスの運転手を確保しようと、市交通局は採用拡大と離職防止へ向けた取組を強化している。4月から法改正による時間外労働(残業)規制が始まったことに加えて想定以上の退職者が出たことを受け、市営バスは減便を余儀なくされており、同局は運転手の待遇改善などを進める。

同局によると、運転手は慢性的に不足しており、残業が前提の勤務体制が常態化していた。そこに残業を規制する法改正が始まり、減便が避けられなくなったという。

4月のダイヤ改正に合わせ、全体の約3%にあたる290便を減便した。しかし、保土ケ谷区や南区、戸塚区などの路線を運行する保土ケ谷営業所では、今年1月から3月までに約160人いる運転手のうち、9人が退職。4月からの新ダイヤの運行が難しくなり、4月22日から77便を減便した。

運転手の状況について、同局は「営業所で差はあるが、厳しい状況は変わらない」といい、人材確保が急務だという。

受験年齢制限を緩和

4月23日に発表した「本気の人材確保大作戦」では、今年度の採用試験合格者から、これまで月1万9600円だった住居手当を月5万円に増額(採用から5年間支給)する。大型二種免許を持つ人が採用試験を受ける場合の年齢制限も49歳から60歳に緩和。現在は運転手の約2%(19人)しかいない女性を増やそうと、女性採用枠を新設し、大型二種免許を持つ人は1次試験を免除する策も打ち出した。

運転手の採用試験には2020年度、384人から応募があり、68人が合格したが、23年度は100人の応募で合格者は26人にとどまり、退職者分を穴埋めできない。

同局は退職者が増え、応募者が減少している現状の背景には、ワークライフバランスを重視する傾向があるとみており、待遇改善によって人材確保を進める方針だ。

今年度の採用試験の申込受付を5月1日に開始。同局人事課は「年間で50人の採用を目指す」としており、仕事内容を紹介する動画を作成するなど、積極的なPR活動を進めている。