「理系の文章は、文系よりも読みづらい」という言説は本当か? 理系の書く文章が世間でなかなか評価されづらい理由を、作家でフリーランス広報としても活躍する藍月要氏による文章指南書『理系のための文章教室』より一部抜粋・再構成してお届けする。

わたしたち理系の人生には、独特の生きにくさがあります。それは、この社会が文系多数派の社会――すくなくとも、理系少数派の社会であることから来る生きにくさです。

そもそも理系って、割合的にはどれくらいいるのでしょう? 参考までに、政府が統計データを出している学校基本調査から、令和元年度における大学の学科ごとの人数を見て、その割合を出してみます。

どの学科を理系とすべきかという問題もありますが、まずは、『理学』と『工学』を対象にしてみましょう。このふたつはすくなくとも、理系と言っていいはずです。理工系とも呼称しますから、学問の名前からして明らかかなと。

計算すると、割合は全体の約17.6%でした。2割に満たない数です。どうでしょう、「なかなかすくないな」と思いましたか? それとも、「こんなもんだよな」でしょうか。

理系は「マイノリティ」である

今度は、『理学』と『工学』に『医学・歯学』『薬学』、それから『農学』も加えてみます。すると、割合は約26.1%でした。

もちろん、令和元年度における現役の大学生がこんな割合というだけですから、これをそのまま、さまざまな世代のいる日本社会全体の実情として考えていいわけではありません。ただ、やはりほかの年度においても、データを見る限り、すくなくとも理系の学生は多数派ではなさそうです。

いくつかの面で自分たちとは考え方や文化の違う人たちの方が、自分たちの生きる社会においては多数派である。この結論、感覚的にも一致するところではないでしょうか?

社会においてわたしたち理系は、なにかとマイノリティの側にあります。それがゆえの生きにくさを、あなたも感じたことがあるのではないでしょうか?