人工知能(AI)の台頭や新型コロナウイルスの脅威など、先が見えない時代。私たちは日々、複雑さを増すビジネスや生活でベストな意思決定をすること、そして人間の最高の知性である創造力を発揮することが問われています。

経営脳科学者の影山徹哉氏は、近著『Third thinking 〜無意識思考〜 最先端の脳科学・心理学研究が証明した“最強の思考法”』の中で、「無意識思考」を活用することがこの時代を生き抜くために必要だと指摘します。

最新の脳科学が見出した「無意識思考」

人間の思考については長年、心理学をはじめとして、とくに「行動経済学」の分野において研究がなされてきました。

ノーベル経済学賞を受賞したアメリカの行動経済学者ダニエル・カーネマンは、人間の思考には「直観(速い思考/システム1)」と「論理(遅い思考/システム2)」の2つがあるとしました。私たち人間は意思決定の対象が何であるかに合わせて、最もよい決定ができるように、これらを使い分けているというのです。

さらに近年、これら2つの思考法に加えて、「第3の思考〜Third thinking(システム3)」が最先端の脳科学・心理学研究において提唱されるようになりました。この第3の思考によって、現代社会で頻繁に直面する、複雑で難しい意思決定において最善の選択ができるようになり、創造性もアップすることが多くの研究で示されてきました。

これこそが今回ご紹介する「無意識思考」です。端的に説明するなら、「課題に対して意識的な注意が向けられていないときの思考」という意味になります。思考していることすら気がつかない。それゆえ、無意識思考と呼ばれるのです。

私たちは認識していないだけで、実はこの思考法を日常的に利用しています。

例えば、新企画の構想を練るために何時間もかけて情報を集め、検討したのに、なかなかいい案が思い浮かばない。いったん切り上げて家に帰り、お風呂につかってゆっくりしていたら、不意に名案が思い浮かんだ。このような経験はありませんか。

帰宅途中も、お風呂につかっている間も、脳は無意識に新企画について思考しています。私たちが気がつかないだけで、脳は新企画について思考し続けているのです。このような思考を「無意識思考」と言います。

有名な心理学者のジークムント・フロイトは次のような言葉を残しました。