コロナ禍に端を発した3月からの休校で、10代の望まない妊娠相談の増加が社会問題となっている。

学校の授業や自分の親から、きちんと性教育を受けた人はどれほどいるだろうか? 雑誌や漫画、友人との会話、ビデオやインターネット、SNSなどを通して、いつの間にか知ったという人がほとんどだろう。

遅れる日本の性教育

NPO法人ピルコンの調査によると、34歳以下の若者で「セックス」「性交」という言葉を0〜12歳までに知ったのが65%、15歳までが96%と、ほどんどの子どもたちが小中学校で性に関する情報に触れている。しかし、最初に知ったときにポジティブな印象を抱いた人はわずか7%で、最初に知ったときの印象を聞いた回答欄には、いやらしい、グロい、痛そう、恥ずかしい……などネガティブワードが並ぶ。

「日本の性教育は国際スタンダードに比べると、質・量ともにかなり遅れている」とピルコン理事長の染矢明日香氏。

現在の性教育は、小学校4年生の保健体育で月経や精通を習い、5年生の理科で身体の生殖機能について学ぶ。中学校では年間平均3時間程度実施されているが、世界の中学校での性教育平均時間は12〜20時間程度(『教科書にみる世界の性教育』/かもがわ出版)と、日本は授業時間も圧倒的に少ない。

「学習指導要領には、通称”はどめ規定”があり、小中学校では妊娠に至る過程や経過、つまり性交について取り扱わないとされている。しかし、ユネスコなどが提唱する性教育の指針『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』では、5歳から性教育の学習目標が提示されている。8歳までに妊娠は計画可能なプロセスであると学び、人に触れるときに『いいタッチ』『悪いタッチ』があること、それに対する対処の仕方まで教える。

12歳までに男女の性的反応や妊娠の確認方法、避妊法を、15歳までに避妊具の使い方や性行為の断り方を学習目標としている。もともと、ガイダンスは有効な性教育の事例調査を積み上げて設定されており、具体的な場面を想定したロールプレイングも有効としている。例えば、アメリカではパーティーでの振る舞い方や、避妊について話し合うロールプレイングも実践されている」(染矢氏)

性教育に関わる部分だけ切り出しても日本とは雲泥の差だが、これはごく一部。包括的性教育として、家族の形やジェンダーの理解、暴力と安全の保持まで網羅するのが、性教育の世界スタンダード。性教育は、もはや人権教育の一貫なのだ。