日本の書店がどんどん潰れていく本当の理由 決定的に「粗利」が低いのには原因がある

日本の書店がどんどん潰れていく本当の理由 決定的に「粗利」が低いのには原因がある

雑誌の収益によって成立してきた取次システムと書店経営は、どだい書籍の収益で支えることはできない構造になっている。

総合取次各社は、書籍の販売比率が雑誌を超えると、ほぼ一様に出版流通事業が赤字に転落している。

経営統合で大阪屋栗田となる以前の大阪屋は、2000年代、アマゾンジャパンやジュンク堂書店との取引によって書籍売り上げが増加し、総合取次各社の中で唯一、総売上高も増収で推移した。それにもかかわらず、この間利益は減少を続け、結局、事実上の経営破綻に追い込まれた。

最大手の日本出版販売と2位のトーハンも、ここ数年で出版流通事業が赤字に転落したことを発表しており、日販の平林彰社長は、自身が入社した30年以上前から書籍部門は赤字だったことを明らかにしている。

再生のヒントはアメリカの独立系書店

書店も書籍だけで経営を維持することは不可能だ。大手取次各社が発表している取引先書店の経営指標に基づき、1坪あたりの在庫金額(雑誌を含む)や商品回転率、そして書店マージンを業界で一般的な22%として試算してみると、1坪あたりの年間粗利益額は23万7600円。仮に100坪の書店を営業すると、粗利益額は2376万円になる。

支出をみると、家賃を安く見積もって月坪1万円と設定すると1万円×100坪×12カ月で1200万円。アルバイトを5人、時給1000円で雇い毎日8時間働いてもらうとすると1年間の人件費は8時間×1000円×5人×365日=1460万円。つまり家賃と人件費で2600万円以上かかり、先の粗利益2376万円から経費2660万円を引くと、経営者の人件費や光熱費を引かない段階でマイナス284万円で赤字になる計算だ。

このままの取引構造では、日本では書籍をベースにした取次や書店は存在しえないのである。

では、書店という業態が、世の中から必要とされなくなっているのだろうか。実はアメリカでは、2009年以来、独立系と呼ばれる小規模書店の数が毎年増加している。そうした書店は書店員たちが独自の品ぞろえをし、カフェを備え、地域向けイベントに力を入れるなど、ネットでは味わえないような人々とのつながりを大切にしている。

ただ、日本と違ってアメリカでいまも独立系書店が開業し、成長するのを可能にしている最大の要因は、書籍の価格と粗利益率の高さにある。

ブルックリン地区にある独立系書店「グリーンライト・ブックストア」。開業以来成長を続けている(筆者撮影)

一例を挙げると、ニューヨーク市のブルックリン地区で2010年に50坪で開店した書店「グリーンライト・ブックストア」は、カフェや雑貨などはほとんどなく、ほぼ書籍の販売だけで営業しているが、開業以来成長を続け、2016年に同じブルックリンに2店舗目を開店した。

同店では客単価が28ドルと日本の2〜3倍、粗利益率は40〜50%とこちらもほぼ2倍で、経営者の話から計算すると年間の売上高は約2億円、粗利益額は約1億円に達する。


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