「沖縄をなめるな」に若者たちが見せた連鎖反応 分断と歴史、葛藤の島でもがく若者たち(4)

「沖縄をなめるな」に若者たちが見せた連鎖反応 分断と歴史、葛藤の島でもがく若者たち(4)

沖縄の保守の政治家で正面切って「ヤマト」に対する感情を直截に表現したのは、最近では前知事の翁長氏くらいかもしれない。保守対革新で争うより、ウチナーンチュの誇りで団結しようと「イデオロギーよりアイデンティティー」を呼びかけ、2015年の県民大会で辺野古新基地建設を推進する政府を非難するスピーチを繰り広げた。

沖縄にアメリカ軍専用施設の7割が集中する。その一部を返還することが決まったら、その代わりを県内から探せという理不尽な要求に対して、翁長氏は「私はこのことを日本の政治の堕落だと言っているわけであります」と一刀両断に切り捨てた。そして、最後に右手のこぶしを上げ、こう叫んだ。

「ウチナーンチュ、ウシェーティナイビランドー」

もちろん原稿にはなかった言葉だ。翁長氏は、その方言の意味合いについて「沖縄をないがしろにしてはいけない」と説明したが、年配のウチナーンチュに尋ねてみると、そんな生易しい言葉ではなかった。

「沖縄をなめんなよ、という意味合いですよ」

それがいまでも県民の間で語り継がれているのは、それだけ魂を揺さぶられるフレーズだったからだ。沖縄のプライドを表顕した「なめんなよ」は、実は政府に対してだけでなく、国民に向けたものでもある。それまで無関心を装ったり、諦めたりしていた沖縄の若い世代が政治に目を向け始めたきっかけともなったという話を、何人もの若者から聞いた。

本土への怒り?「あるよ」

その翁長氏が那覇市長時代の2012年に始めたのが、ハイサイ運動推進計画だ。沖縄各地の方言である島言葉(シマクトゥバ)を大切に伝承することによって、ウチナーンチュとしての誇りを抱いてほしいという狙いだという。

いま、それを実践しているのが徳森さんら若い世代だ。集会やイベントでマイクを握ったとき、必ず冒頭に方言で挨拶をする。

「ワンネー 〇〇〇〇 ヤイビーン。 ユタサルグトゥ ウニゲーサビラ」(私は、〇〇〇〇と申します。よろしくお願い致します)

その翁長氏の申し子たちが、ヤマトに向かって発信を始めている。

連載2回目「沖縄の若者が『戦後世代』との間に見る高い壁」(2019年2月3日配信)で紹介した三味線を弾く金城海斗さん(25歳、仮名)が、あの辺野古への土砂投入の晩、Facebookに投稿した文章だ。

「沖縄で生きているおれらだって国と対峙したいわけじゃない。基地問題は沖縄の問題じゃなくて、日本全体の問題っていうあたりまえの話がしたいだけ。どういう手段で伝えていけばいいのかずっと考えてるけど、さすがに限界を超える。『沖縄に住んでいないから。当事者じゃないから』って理由で無意識に他人事としないでほしい。

当事者は辺野古でも、名護市でも、沖縄県だけでもない。『安全保障のため』とうたって正当化するアメリカ軍基地は日本に住んでいる全ての人が当事者であって、考えなくちゃいけないことを忘れないで欲しい」(原文のママ)

ヤマトの人たちに、思いをぶつける投稿をするのは初めてだ。政府が安全保障を理由に「辺野古」にこだわるなら、沖縄だけで考えるのは、あまりに理不尽だと思った。投稿に対するリアクションの1つに「沖縄、負けるなよ」というメッセージがあった。「負けるなよ? 違うだろ。日本全体の問題であることを、本土の人たちは忘れている」。

その彼と宜野湾市内の中華料理屋で会ったとき、こう尋ねてみた。

「本土に対する怒りはある?」

ラーメンをすすりっていた彼は、顔を上げて少し考えてから答えた。

「あるよ」


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