師走、しかもボーナス後のアップルストアの光景は衝撃的だ。人がごった返し、また街ゆく人がひっきりなしに店に入ってくる。店舗の一角だけを観察していても、30秒に1台のペースでiPhoneが売れていくし、バックヤードからは5台ずつiPhoneの箱を運び出すスタッフが追いついていないほどだ。また思い思いのバンドを選んでApple Watchを手に店を出て行く人が絶えない。

そんな大盛況の「アップル 表参道」で12月8日、どよめきが起きた。アップルのCEO、ティム・クック氏が突如として来店したからである。

来日の目的とは?

今回のティム・クック氏の来日の目的はどこにあるのだろうか。アップルにとって日本には、いくつかの側面がある。

決算からすれば、日本をアジア太平洋地域から切り離しており、1国の売り上げ規模としてはアメリカ・中国に次ぐ市場だ。ただし、売り上げについて言えば、アップルストアの店頭を見るに、活を入れるまでもなそうだった。

日本以外では調達できない製品向けのパーツや技術を供給するサプライヤーも集中している。とくに昨今のスマートデバイスで重要なのはディスプレイだが、ジャパンディスプレイへの救済的な投資を決めたことも記憶に新しい。

11月28日にジャパンディスプレイは次世代ディスプレー技術「マイクロLED」と「透明液晶」を発表し、これらの製品はApple WatchやiPhone、iPad、Mac、そして噂されるメガネ型デバイスの製品を特徴づける技術になることが目されている。

また、日本はいわゆる「GAFA規制」を急速に強めている国の1つでもある。個人情報保護については、プライバシー啓蒙をむしろ進めたい立場のアップルからすれば「ぜひどうぞ」というところだ。しかし通信行政の域外適用やスマホ割引の制限、税制度の問題については、「GAFAに一矢報いること」が最重要課題のようになっている日本の霞が関に大いに反論したいと思っているはずだ。

もちろんそうしたテーマについても報告があるかもしれないが、クック氏本人が精力的に動くのは「再会」というストーリーがあるようだ。