アメリカの主要な株価指数は、史上最高値更新が続いている。だがその実情は、一段とうすら寒くなっている。

アメリカ経済については、「製造業は不振だが、雇用が堅調で賃金が伸び、それが小売売り上げを支えている。個人消費はアメリカの経済全体(GDP規模)の約7割であるから、それが崩れない限り、製造業が多少どうなろうと、景気はびくともしない」といった論理展開が、楽観論者の支えだ。

アメリカの「頼みの綱」である「賃金上昇」は鈍化傾向

ところが10日(金)に発表された昨年12月分の雇用統計は、かなり悪い内容だった。市場は非農業部門雇用者数に注目しており、同12月は前月比14.5万人増と、11月の25.6万人増(当初発表の26.6万人増から下方修正)より減速はしたが「それほどたいした悪化ではない」という解釈が優勢だった。

しかし雇用者数ではなく、賃金の伸びに目を向けると、雇用者の週当たり総賃金(雇用者数×1人当たり週当たり労働時間×時間当たり賃金)の前年比も、1人当たりの週間賃金(1人当たり週当たり労働時間×時間当たり賃金)の前年比も、12月は大きく低下し、ともに2017年前半の頃の伸びに落ち込んでいる。

実はこれらの前年比の低下は、足元だけの現象ではなく、前年比のピークは2018年10月で、そこから傾向的に悪化が続いている。つまり頼みの綱の賃金上昇は、ずっと鈍化傾向にあるわけだ。

先週末(17日)にかけてのアメリカの株価は、16日(木)発表の昨年12月の小売売上高が前月比0.3%増と事前予想の数値を達成したことや、17日(金)の12月の住宅着工件数が前月比16.9%増と極めて大きく上振れしたことなどから、上値追いとなった。

ただし住宅着工件数は、好天で建設工事の着手が進んだという指摘があるし、着工件数の先行指標である建設許可件数は、昨年12月は前月比で3.9%減少している。楽観心理に飲まれたアメリカの株式市場は、指標のいいとこどりをしているが、「現時点ではまだ」堅調な賃金増に支えられた個人消費や住宅投資が「これから」悪化し、楽観論の根拠が崩れていけば、アメリカの株価も支えを失いそうだ。