突如生まれたパソコン(PC)の「1000万台市場」に、PCメーカーが沸き立っている。

文部科学省は2019年末、全国の小中学校の児童・生徒1000万人に1人1台のPCを普及させる、「GIGAスクール構想」と呼ばれる政策を発表。2019年度補正予算に2300億円を計上した。

これまでは3クラスに1クラス分の台数の整備を目指し、毎年1800億円分の地方交付税交付金が全国の都道府県、政令指定都市に計上されていた。だが実際にPC購入費を予算として計上するかどうかは自治体任せであり、結果としてPC整備に熱心な自治体とそうでない自治体との格差が生まれた。2018年度におけるPC1台あたりの児童・生徒数の全国平均が5.4人。最も普及しているのが佐賀県で1.9人、一方、愛知県の7.5人が最低値だ。

マイクロソフトはいち早く存在をアピール

今回の予算は、国公私立の小中学校で使用するPC端末と、希望する小中学校や高等学校での校内の無線LANの整備に充てられる。PCの整備はまず小5から中1までの3学年分を優先。今後3年かけて全学年分を整備する。これまでの整備台数は約200万台で、1学年約100万人の全学年に広がれば、残り約800万台の巨大市場が生まれる。2018年度の国内個人向けPC出荷台数は357万台であり、規模の大きさがわかる。

マイクロソフトが提供する共有ノートアプリ「OneNote」上で、小学校の児童が植物観察の日記をつけている例(画像:Microsoft)

文科省が目指すのは、学校内でPCをネットに常時接続することで、クラウド型ソフトウェアを活用した教育を促すことだ。小テストを提出・採点・返却したり、プレゼンテーションスライドを子どもたちが共同で作ったり、クラスメイトの発表に対する評価を児童・生徒同士でスプレッドシートに書き込み合ったり、といった具合だ。

この市場に、PCメーカーやOS(基本ソフト)の開発企業が色めきたっている。いち早く自社のアピールに乗り出したのが、日本マイクロソフトだ。2月4日に記者会見を開き、OSの「Windows(ウィンドウズ)」や業務ソフトの「Office 365(オフィス365)」、校内での端末管理システム、教員向けの無償研修などに、提携メーカーのPC端末を組み合わせた「GIGAスクールパッケージ」を発表した。

「1台当たり4.5万円」。GIGAスクール構想の中で文科省が提示したPC購入補助の金額だ。これは事実上、PCの選択肢が4.5万円以下のものに絞られることを意味する。この中にソフトウェアの費用は含まれない。マイクロソフトのパッケージで用意されたのは、エイサー、HP、NEC、ダイナブック、デル、富士通、マウスコンピューター、レノボの8ブランド17機種。ただ定価が10万円近い機種もあり、すべてが4.5万円以下で提供されるかは不透明だ。