2月12日現在、中国国家健康衛生委員会の発表によれば、中国では新型コロナウイルスによる肺炎に感染した患者数は4万4653人まで拡大し、前日より2015人増加した。患者数が5万人を超える日は近いとみられる。

11日朝8時ごろ、筆者は北京でもっとも混雑する道路の一つ、第四環状道路(四環)を北京の南から北へ車で走り、病院に持病の糖尿病の薬を取りに行った。少し早めに家を出たので、「渋滞はなく、患者も少ないだろう」と思っていたが、意外にも四環はけっこう混んでおり、渋滞はなかったにしろ速度制限いっぱいの時速80kmはあまり出せなかった。

北京ではすでにほぼすべての企業が仕事を再開していた。在宅勤務が増えたといっても、やはり出社する人も多かったのだろう。筆者のような60歳以上の老人は、病院内でもしっかりマスクをして、中にはレインコートを着て持病の薬を取りに来る人でごった返していた。病院のベンチにぎっしりと座り、知り合いでもないのに新型肺炎について議論していた。

「在宅勤務」が北京の日常に

2月10日は中国にとって特別な意味を持つ。1月25日から始まった春節休暇は本来ならば2月3日に終わるはずだったが、新型肺炎の影響で2月9日までに延期されていた。北京や上海などの主要都市ではマスク、消毒液がきわめて不足している中で、2月10日に企業活動が動き出したのだ。

北京の中関村にある理光ソフトウェア研究開発(北京)有限公司(リコー・ソフトウェア)は、2月8日に「10日から在宅勤務を開始する」知らせを従業員に向けて出している。14日までは在宅勤務で業務を行うという。中関村のIT企業が入っているオフィスビルには、11日も人影が少なく、閑散としているように見える。当番や緊急の仕事以外は在宅勤務、というのが北京のオフィス街の新たな風景になった。

上海にある三菱総合材料管理(上海)有限公司(三菱マテリアルの現地法人)でも、2月10日〜14日は在宅勤務にした。日本からの製品は2月7日にすでに出荷を始めており、10日から通関する。物流の影響で遅延の可能性があるが、顧客に「理解していただきたい」と微信(WeChat)をはじめとしたSNSで通知している。