世界が注目する今夏の東京五輪・パラリンピックの開催延期が事実上固まった。国際オリンピック委員会(IOC)が延期を視野に「4週間以内に結論」を表明、安倍晋三首相も「延期容認」の姿勢を打ち出したからだ。

延期後の新たな開催時期は今後の検討次第で、関係者の間では「年内」「1年後」「2年後」の3案が浮上している。これを受けて、安倍首相の今後の政権運営のカギとなる衆院の解散時期も含めた政治日程も様変わりし、「ポスト安倍」の構図も一段と不透明感が増してきた。

コロナの感染収束が五輪開催の前提に

IOCのバッハ会長は3月22日(現地時間)の臨時理事会で、新型コロナウイルスの世界的感染拡大を踏まえ、東京五輪について延期を含めて検討すると発表した。日本政府や大会組織委員会、東京都などと協議したうえで、今後4週間以内に結論を出す方針だ。中止は「誰の助けにもならない」(バッハ会長)と議題にはしない。

これを受けて安倍首相は、23日の参院予算委員会集中審議の冒頭に「アスリートの皆さんのことを第一に考え、延期の判断も行わざるをえない」と答弁。さらに、大会組織委会長の森喜朗元首相に、コロナウイルスに打ち勝った証しとして開催することと完全な形での実施などの考えを説明。森氏を通じてバッハ会長に伝えたことも明らかにした。

安倍首相は16日のG7首脳とのテレビ会議で「打ち勝つ証し」と表現していたが、23日の答弁では「打ち勝った証し」と過去形の表現に軌道修正し、感染の収束が開催の前提となるとの考えをにじませた。

五輪は過去に戦争のため中止されたことがあるが、延期の前例はない。安倍首相と盟友関係にあるアメリカのトランプ大統領が「安倍首相の決断に任せる」などと発言していることもあり、主催国のリーダーとしての決断力をアピールし、与野党も安倍首相の対応を支持する声が大勢だ。