首都圏を中心に食料品のパニック買いが始まった。買いだめや買い占めと表現されているが、「不安に誘発されたパニック買い」が正確な表現だろう。

東京都が3月25日夜20時から開いた緊急記者会見が直接的な引き金となった。都内で新たに41人が新型コロナウイルスに感染したことを発表し、小池百合子知事が現在の状況を「感染爆発の重大局面」と述べた。そのうえで都民に外出の自粛を強く要請したことが、多数の人々をパニック買いに駆り立てる主な要因になったようである。

3月23日の記者会見で「事態の推移によってはロックダウン(都市封鎖)など強力な措置を取らざるをえない可能性」に言及していたため、「いよいよロックダウン間近か」「食べ物が買えなくなるかも」と早合点したことも少なからず影響を与えたようだ。

Twitterなどのソーシャルメディアでは、都内のスーパーマーケットやドラッグストアなどで軒並み行列ができているとの情報が飛び交った。カップラーメンやレトルト食品、米、ミネラルウォーターなどが品切れ・品薄となり、帰宅途中で夕食の材料を買おうとした会社員などが悲鳴を上げる事態となった。

世界中で起こった買いだめ現象の後追い

筆者の地元のスーパーでも20時頃には普段の2倍以上の客足でごった返し、カゴに大量のカップラーメンなどを積み込んでいる様子が見られた。Twitterでは「買いだめ」がトレンド入りし、困惑の声が広がった。翌26日になっても地域によっては朝からスーパーなどに長蛇の列を作ったようだ。

これは世界中で起こったパンデミックに伴う買いだめ現象の後追いである。

ただ、日本の場合は、まだ海外に比べて規制などはかなり緩い状態にあり、今回の小池知事の会見でも、26・27日の自宅勤務と週末の外出自粛を呼びかけたものにすぎない。しかし、数日前からテレビのワイドショーなどが「首都封鎖」「都市封鎖」などというおどろおどろしい文言で恐怖を煽っていたことが心理的な要因になったことが容易に想像できる(緊急記者会見が決まった段階で、内容を先読みして動いた者もいただろう)。

欧米各国で実施されている「ロックダウン」とは、要するに「外出制限」や「外出禁止」のことを指しているが、生活上必要な行動については例外にしているところが多い。例えば、アメリカ・ニューヨーク州では、スーパーやドラッグストアなどは営業しており、「食べ物が入手できなくなる」というようなことはない。