米下院は3月27日の米東部時間昼過ぎ、26日に上院で全体一致によって承認されていた総額約2兆ドルに上る景気対策法案を可決した。ドナルド・トランプ米大統領もその後すぐに法案に署名。「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気の大幅な落ち込み」という国難に対する米政府の取り組みが、ようやく始まる格好となった。

「国難」でリーマンショック時とは違う動きに

採決は「発声投票」と呼ばれる方式が用いられた。これは賛成、反対の議員が議長の支持の下でそれぞれ一斉に声を上げ、その声の大きさによって判断するという方式だ。議員一人一人が個別に賛否を表明する記名投票に比べ、結果が明らかな法案の場合は時間の短縮になるほか、どの議員が賛成、あるいは反対したのかが記録に残らないという特徴がある。

前日の上院での採決では全会一致で承認されたが、下院の場合は事態が事態だけに法案には賛成するものの、トランプ政権の提出した法案に賛成したという記録は残したくないという民主党議員の思惑も少なからずあったのだろう。

今回の法案は、当初の案に使途を当面の間明らかにしなくても良いという予算が含まれていたことに対する反対はあったものの、それ以外は大きな問題もなくすんなり成立した。やはりそれだけ、新型コロナウイルスの感染拡大やそれに伴う景気に大幅な落ち込みに対する危機感が、議員の間にも強かったものと思われる。

2008年のリーマンショックの際には、当時のジョージ・W・ブッシュ政権と議会指導部が合意した金融安定化法案が米下院で否決され、NYダウ平均株価が777ドル安と当時史上二番目の下げ幅を記録するに至った。だが、今回はそうした否定的な動きはほとんど見られなかった。リーマンショック時はあくまでも金融市場(Wall Street)の問題であり、国民の税金を使ってそれまで好き放題に金儲けをやってきた金融機関を救済することに違和感を覚える向きも多かったが、今回は実体経済(Main Street)が新型コロナウイルスの感染拡大によって麻痺状態に陥っており、一刻も早い救済が必要との認識で一致したというわけだ。