4月6日、復原された国立駅舎がお披露目された。当初、オープニングイベントは4月4日の土曜日を予定していたが、新型コロナウイルスの拡大防止を理由に週末は外出自粛の要請が出されていた。それらを鑑み、国立市は式典を平日に振り替えて実施。ひっそりとした門出になった。

旧国立駅舎は1926年に竣工。赤い三角屋根がトレードマークの駅舎は、中央線の立体交差化事業に伴い2006年に解体された。現役当時は都内で2番目に古い木造駅舎だったとされる。

旧国立駅舎より先輩の木造駅舎は原宿駅だった。しかし、原宿駅舎は今年3月に役目を終えて新駅舎の供用を開始した。現在、JR東日本は旧原宿駅舎を「できるだけ現在に近い形で建て直す」としているが、そこには“復元”や“復原”という言葉はない。あくまでも、“建て直し”との表現を用いている。

14年を経て「復原」

一方、旧国立駅舎もここに至るまでの道のりは決して平坦ではなかった。当初、市民の要望によって保存が進められたものの、JR東日本からの協力は得られなかった。また、保存・移築費用が高額になることが予測されたため、市議会も反対した。

保存は暗礁に乗り上げ、なんの進展もないままタイムリミットの2006年を迎える。旧駅舎はいったん解体されることになるが、国立市は部材を保管。駅南口に隣接する土地を購入し、そこに旧駅舎を“復原”した。

建物などを以前と同じように再現することを“復元”と表現する。だが、2012年に開業当時の姿に戻された東京駅の赤レンガ駅舎は、あえて“復原”という言葉を用いた。“復元”も“復原”も、建物などを過去の姿に戻すという意味では同じだが、“復原”は歴史を経て改造された文化財・建造物を元の姿に戻すといった意味を内包している。

東京駅の赤レンガ駅舎と同様に、旧国立駅舎でも、“復元”ではなく“復原”を使った。そこには、ただ過去の状態に戻すのではなく“進化”を遂げながら戻すという意味が含まれている。