ロシアにおける新型コロナウイルスの感染者増加に歯止めがかからない。

5月6日時点での感染者数はすでに約15万5000人(死亡者数1451人)に達し、中国の感染者数(約8万3000人)を大きく上回っている。首都モスクワを中心に厳しい外出規制が実施されているが、連日5000人超の新規感染者が確認されている。

さらに、政権ナンバー2のミシュスチン首相やヤクシェフ建設相の感染も明らかになっているほか、ロシア軍にも感染は広がってきた。

公表された感染者数は「氷山の一角」

ロシア国防省は4月26日、ロシア軍関係の感染者数が約2000人にのぼると公表した。軍による全体の感染者数の発表はこれが初めてだ。

国防省によると、同日時点で軍人874人の感染が判明。このうち重症者は4人で、うち1人が人工呼吸器による治療を受けていた。その他にも軍付属高等教育機関の学生や聴講者など779人の感染も確認され、国防省付属教育機関の職員や軍に勤務する民間人を含めると、感染者数は約2000人に達した。その後、5月5日には感染者数を「約3200人」としている。

これらの感染者は、軍付属医療機関へ入院したり、自宅で隔離観察状態に置かれている。国防省は、ロシア軍が定期的な検査を行っているほか、輸送手段や施設を消毒するなど、感染防止策を徹底していると強調している。

ロシア軍に勤務する軍人は約80万人(2019年時点)にのぼり、世界で最も大規模な軍の1つだ。軍全体から見れば感染者数は1%に満たない。

しかし軍の活動は密集した状態での共同生活や訓練を前提としており、今後、クラスター感染(大規模な集団感染)が頻発する危険性は高い。今回発表された感染者数について、政権に批判的なメディアの間では「氷山の一角にすぎない」「実情は隠されている」との見方が出ている。