韓国を代表する財閥企業・サムスングループのトップが、「子どもに経営権を承継しない」という「世襲決別宣言」を行った。

韓国の経済発展をリードしてきた韓国の財閥は、その多くが戦後に設立され、現在は創業者の3代目、4代目の時代になっている。サムスンは創業者一族が代々経営権を握ってきた財閥の代表例だ。なぜ今になって、子どもに承継しないと発表したのか。

国民向け謝罪に追い込まれた事情

サムスンは、1938年に三星商会を設立した故・李秉喆(イ・ビョンチョル)会長が3男の李健熙(イ・ゴンヒ)会長へバトンを渡した。そして2014年に李会長が病に倒れてからは、李会長の長男であるサムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が経営をリードしてきた。トップの世襲は韓国企業では珍しくない。

その李副会長が5月6日、「国民向け謝罪」を行った。これはサムスンがソウル高等裁判所の助言を受けて設立した「サムスン遵法監視委員会」が5月11日までに国民向けの謝罪を行うよう勧告したためだ。

なぜ国民に向けて謝罪するのか。今回謝罪した内容は2つに分けられる。1つは「経営権を今後、子どもに継がせない」という事業承継の問題。そして、「グループ内に労働組合を設け、創業以来続けてきた無労組経営を放棄する」ことだ。

サムスンは企業規模が拡大するにつれ、後継者問題や経営権をどう掌握するかという問題に苦しめられてきた。今回、李副会長が謝罪に追い込まれた原因もこの承継問題にあるのだ。

李副会長はこの5年間で、国民に向けて何回か謝罪を繰り返している。特に2019年6月にはグループ会社の粉飾会計と証拠隠滅を図ったことが判明し、同12月には、グループの主要企業であるサムスン電子の経営陣が労働組合法違反で有罪判決を受けてそれぞれ謝罪に追い込まれている。さらに、「国政不正介入事件」に関連しても、2019年8月と同10月に謝罪を繰り返している。