5月4日、政府は緊急事態宣言の5月末までの延長を発表した。その根拠も、宣言解除の基準も漠然としたものでしかない。これでは、いつまで自粛が続くかわからず、すでに閉店・廃業の危機にさらされている飲食店等の不安は増大するばかりである。

そのうえ、政府は自粛要請と補償は別という建前を崩さず、持続化給付金に加えて追加的な金銭的補償を行うかどうかについても明言していない。各自治体が自粛要請を受けて休業した飲食店等に協力金を出し始めているが、その金額も十分とは言えない。

政府が固執している「自粛と補償は別」という言葉は正しいのであろうか。法律的に見てみよう。最初に、以下は筆者の個人的見解であること、最終的な判断は裁判所の判断を待つしかないことをお断りしておく。

日本国憲法第29条の規定に照らし合わせてみる

日本国憲法で、国民の経済的自由権が保障されている。ここで問題となっているのは、飲食店等の営業権であるが、それに関係する条文は第29条である。

第29条
第1項 財産権は、これを侵してはならない。
第2項 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
第3項 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

このように、憲法第29条では、第1項で財産権を保障することを明らかにしているが、第2項は、財産権が法律によって制約されるものであるとしている。

制約の根拠となる「公共の福祉」については、各人の権利の公平な保障のための内在的制約と、社会的公平と調和の見地からなされる積極目的規制(政策的規制)の2つがあると解されている。

補償が認められるかどうかに直接かかわってくるのが第3項である。そして、この規定は私有財産を「公共のために用ひることができる」とするが、その際には「正当な補償」が必要であるとしている。なお、補償の請求については、この憲法の規定に基づいて直接請求できるという判例が存在する。